お互いの命を救えるように「救急救命講習」
山の現場では、いつも万が一の事態に備える心構えが必要です。
仲間が怪我をしたとき、適切な救命行動が取れることで、命を救い、後遺症の残らない回復につながります。
この日は、アカデミーのすぐそばにある美濃消防署の消防士の方々のご協力のもと、「救急救命講習」の授業が二日間にわたって実施されました。
初日は、これから現場スキルを身につけるエンジニア科一年生向けに森の情報センターで実施されました。
心肺停止時に、私たちができる救命措置として最も有効なのが「心臓マッサージ」と「AED」です。
自動車教習所でも習いますが、この日は一人一体の訓練用模型で何度も練習。みんな汗だくになるまで頑張りました。
「救急車が来るまで7-8分は続けてください。」と言われると「え!こんなにきついのに!?」とみんな青ざめましたが、そこは誰かに代わってもらえばいいだけ。周りの人もみんなこのスキルを持っていることで、一人の生存率が上がるわけです。
次に、怪我した人を安全な場所に運ぶ方法として、体の持ち方の指導がありました。脇に手を入れて手首を掴み、足首を組ませて持ち上げる。不思議なことにそれだけで安定して簡単に持ち上げることができます。
また、竹などの丈夫な棒と毛布があれば、即席の担架をつくれることも習いました。担架は怪我した人を安定して運べます。雨の現場事故では、屋根のあるところに運ぶ必要があったり、怪我人を安全なところに避難させる場面もあるかもしれません。この技術を知っているのと知らないのとでは、生存確率が大違いです。
他にも、出血時の措置、蜂や蛇に刺されたときは毒を口で吸わないなど、山で起こりそうな事故に対する知識を授かりました。吐瀉物で気管を塞がず、身体を安定させる「回復対位」も覚えました。
二日目は、エンジニア科二年生が救急救命法の体験をしました。
二年生は経験者がほとんどなので、「まずは覚えているやり方でやってみよう!」と促されるまま、人形に蘇生法を試みます。
最初は恐る恐るの処置でしたが、作業を進めるうちに、みんな少しずつ思い出してきたようです。
そんな学生の処置を見ながら、消防士さんが、どうやったら効率よく効果的な処置ができるかをわかりやすく指導していきます。
AED(自動体外式除細動器)の使い方も、手にする前はどう使ってよいか?学生は不安に感じているようでしたが「これも、まずはやってみよう!」と促されるまま、トライしてみました。キットを開けてみると、体へのセットの仕方や操作方法なども、全てパッケージにわかりやすく書かれています。あとは音声ガイドに従ってスイッチを入れるだけ。「かんたんだね」「これならできるね」と、処置に取り組むハードルが皆の中で少し下がったようです。
そのあとは、搬送法や止血法など体験し、質疑応答では、現場にはどのような装備を持ち歩く必要があるかなども確認しました。
救急救命が必要になる場面では、ちょっとの躊躇や処置の遅れが後遺症につながるなど社会復帰に影響してしまいます。そのため「いざというとき、すぐ動ける」というのがとても大切です。今回の実践を通してみんなが臆せず、処置ができるようになってもらえたら良いですね。
2日間にわたり、美濃消防署の消防士の方々には大変お世話になりました。
学生の皆さんは、この学びを忘れないようにして下さい。