2017年07月19日(水)
教員オススメの一冊 2:樹と暮らす 家具と森林生態
樹と暮らす 家具と森林生態
著者:清和研二・有賀恵一
発行年:2017年
発行元:築地書館
価格:2,200円+税
おすすめしている教員:玉木一郎
本学のブログを読みにくる方には,森林が好きな方や木材が好きな方がいると思いますが,その両方が好きな人に特におすすめなのがこの本「樹と暮らす 家具と森林生態」です。この本では,66樹種の生態と木材としての使われ方が,見開きで解説されています。
対象となっている樹種には,家具で良く使われるケヤキやイタヤカエデ,ミズナラから,こんなん家具で使えるの?と思うようなヌルデやヤマブドウ,スズカケノキなど…,渓畔林や冷温帯林,里山林の樹木や,ツル,植栽木など多岐に渡っています。
そしてただ一通りの解説ではない所が面白い所です。生態のパートは森林生態の研究者の著者が,木材利用のパートは建具職人の著者が書いており,それぞれの専門に関する経験を最大限に活かしたコラム調の語り口や,生態パートの著者の手による植物画,カラー写真を多用した材の利用例など,魅力がたっぷりです。いずれの樹種についても,著者らの溢れんばかりの愛情が伝わってきます。
この春に出たばかりの新刊なんですが,あまりの面白さに,入手して2晩ほどで読み切ってしまいました。きっと皆さんも読んでみると「へー,そんな生態があるんだ,そんな使われ方があるんだ」と新たな発見があり,さらに各樹種への愛情も深まることと思います。
出版社のサイトで,数ページですが試し読みもできます。
http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1535-1.html
興味を持った方には,是非とも手にとって読んでもらいたい一冊です。
生態パートの著者は,他にも築地書館から「樹は語る」と「多種共存の森」も出しています。著者の考え方に興味をもった人にはこれら2冊もオススメです。
玉木 一郎 |
森林遺伝学/遺伝子をツールに
樹木の暮らしや歴史を明らかにします |
研究テーマ |
シデコブシの保全に関する研究 モクレン属やコナラ属の種間交雑や遺伝的構造に関する研究 樹木の群集構造に関する研究 |
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