経年変化による木材の良さ 外装の水拭き (みどりのアトリエ建築日誌8)
木材は時間が経ったら腐る、経年劣化するとマイナスなイメージを持たれることも多いと思います。
確かに木材は時間が経てば腐っていったり、変化していきます。そこで、人の手を加えてお手入れをしていけば良いと考えます。
包丁や、車、物はどれも点検、手入れが欠かせないものです。それは例外なく、建物もそういえます。建物も点検、お手入れをすることで長く利用することができます。
みどりのアトリエの前の「ほたるの川床」は2008年に建てられたものです。12年間、お手入れされていなかった建物をエンジニア科の人たちと水拭きしてみました。
水拭きした箇所は、化粧部の格子、建具を水吹きしていきました。
12年間、日光や、雨風に晒されてシルバーグレーの色になっています。年季の入った建物のように見えます。
この木材がシルバーグレー色になる原因は主に、「光」と「雨」にあります。
光によって分解されたリグニンなどの変色物質は、水に溶けやすく、雨などにさらされると流れ出てしまうため、脱色されたようなシルバーグレー色になってしまいます。
分解され流れ出てしまうリグニンとは、木材の骨格を形成しているセルロースを補強する役割を担っている部分です。それだけに、リグニンが光分解して生じた物質が雨に流されてしまうと支えを失ってしまうため、木材の繊維は表面から剥がれ落ちます。
エンジニア科3人と私と辻先生で、雨風に晒されている木部を雑巾で水吹きしていきました。みるみる内にシルバーグレーだったところは、剥がれ落ち色が明るくなっていきました。
水拭きすることによって、紫外線劣化していた木の表面が剥がれ落ちて、木目がしっかりと見えるようになりました。
また、拭くことによって硬い冬目が残り、うづくりのような質感になりました。
こすると面白いように取れるので、私もエンジニア科の人たちも夢中でこすっていました。
木格子After
木製建具Before
木製建具After
格子も、引き戸も水拭きしたことにより、綺麗になりました。
また、拭いたことによって新築と既存との境界線があいまいになり、建築として一体になったと感じました。
建物も長く付き合っていくには、点検とお手入れをしっかりすることが大事になってくると思います。
また、自分でお手入れすることによって建物に愛着を持つこともできます。
年末には新築部の外壁もソープ仕上げにしようかなと考えています。ソープフィニッシュの外壁は自力建設にはないので、実験的にやってみるのが楽しみです。
木造建築専攻 2年生 杉山 優真