エネルギー73%削減 morinosの実績(morinos建築秘話67)
前回はmorinosのエネルギー消費量を概観しました。
今回は、設計値と比較しながら詳細に見ていきます。設計段階でのエネルギー消費量予測は、46.10 GJです。
一般的な同種別、同規模の建物に比べて67%削減予想です。
なんと1年半前に建築秘話で書いてます。
・エネルギー消費量予測 67%削減(morinos建築秘話17)
さて、morinosの実績値はというと、前回の建築秘話で紹介した44,937 MJです。
つまり、44.94 GJのことです。
おお!!!、ほとんど同じ!すごいね!というのは早計です。
薪ストーブも併用しているのに一緒?とか、OA機器やセキュリティは設計段階で考慮していたの?とか、もう少し詳細に分析する必要があります。
設計段階でのエネルギー消費量の予測
現在は、建築研究所のエネルギー消費性能計算プログラムのバージョンが上がってVer.3.0.3(2021.9月現在)です。当時入力したデータがあるので、再計算すると前回と同じ値になりました。大きな計算エンジンは変化が無いようです。
詳細な計算データを見ていくと、
1次エネルギーの設計値は 46.10 GJ(基準エネルギー:143.20 GJ)
その内訳は
暖房の設計エネルギー:22.25 GJ
冷房の設計エネルギー:14.15 GJ(暖冷房の空調基準エネルギー:126.97 GJ)
換気の設計エネルギー:0.78 GJ(基準エネルギー:1.97 GJ)
照明の設計エネルギー:8.89 GJ(基準エネルギー:14.26 GJ)
です。(四捨五入の関係で合計値と少し誤差があります。)
ここには、その他エネルギーとして考えるOA機器等が含まれておりません。
参考値として「平成 25 年省エネルギー基準に準拠した算定・判断の方法及び解説 Ⅰ非住宅建築物(IBEC)」によると、学校(5000㎡程度)のその他エネルギーは217.6 MJ/㎡・年程度です。
morinosの床面積120.04㎡を乗じると、26,121 MJが年間のエネルギー消費量です。
その他エネルギーの目安:26.12 GJ
となります。
ここまでのmorinosの実績値、設計値、標準値をグラフ化しておきましょう。
その他(OA機器等)の用途を含めないと67%削減見込みでしたが、その他用途を含めると57%の削減見込みです。
morinosのエネルギー消費量は44.94 GJなので、予測よりさらに37%エネルギー削減がなされており、一般的な同種別、同規模の建物に比べて73%削減となりました。
昨年度はコロナ渦の影響もあり、不規則な活動も多かったと考えられますが、建物性能を踏まえた計算予測よりさらに削減されていたことは、薪ストーブの活用や、窓の開け閉め、こまめな照明のオンオフなど、運営スタッフのこまめな行動がもたらした結果だと思います。
次年度以降も継続的に計測していく予定です。
morinos建築秘話の全話はHPから見れます。