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2021年10月03日(日)

ウッドデッキ 耐久性を上げるための工夫(みどりのアトリエ建築日誌5)

木材は雨に弱い。

というイメージを持たれている方も多いかと思います。基本的に木製品を水に濡らしたら良くなさそうだというのは、多くの方が共通して思っていることと思います。

しかし、実際には、木材は想像するよりもずっと水に対して強い材料と言えます。

 

もの凄く当たり前の話ですが、木はそもそも「雨ざらし」で成長します。

 

また、切り出された木は土場に山積みにされ、1か月、2か月も雨ざらしになっていますが、腐る可能性はありません。

東京の新木場では、切り出した丸太を海に浮かべ、貯木しています。

 

つまり、木材は水に強い材と言えます。

では、何が木材をダメにしてしまうかというと、「木材腐朽菌」という菌が木を腐らしています。

この木材腐食菌が繁殖するためには、長期間十分な栄養と酸素がある条件で、温度20-30℃の範囲、湿度85%以上の環境中にある、含水率20%以上の木材のみで繁殖します。

なので、雨ざらしの材はこの条件を満たしやすいために、腐ってしまうのです。

みどりのアトリエの横に設置されている、木の階段。傷んでグズグズになっている。

みどりのアトリエも川辺に近く、湿度も高いため木材腐朽菌が育つための環境はばっちり整っています。また、ウッドデッキに関しては雨ざらしになってしまうので、腐る可能性は高いと考えました。

なので、今回は自力建設で初めての防腐防蟻剤であるACQを注入した材を使いました。

ACQ薬剤とは、銅・アルキルアンモニウム化合物系薬剤のことです。この薬剤は食塩よりも毒性が低く、土壌への流出や揮発もなく汚染の心配のほとんどない材となっています。

 

ACQ注入材は、腐ってしまうとメンテナンスが大変な、土台、大引き、根太。雨が直接当たる、デッキの板材に使用しました。

 

では、どのようにACQ注入材が作られたか、見ていきましょう!!!

ACQ注入材は大工合宿でお世話になった、東濃ひのき製品流通組合さんにお願いをしました。

アカデミーから乱尺な板材を持っていき、木取りし、注入をしてもらいました。

木取りをして厚さ30mmで直角が出た状態で、薬剤にドブ漬けにします。イメージとしては、大きな浴槽にそのまま木を付ける感じです。

注入すると、色が銅特有の緑色になった。手前がデッキ材。奥が土台、大引き。

直角を取って、厚さ30㎜に木取りした材は注入材を入れたことによって、反ったり、捻じれたりしてしまいました。大工さん曰く、「普通やったら、もったいないけど木取りする前に注入してそこから木取りするんよ」と教わりました。

注入後、なかなかの反り具合を見せる木材たち。

この、反りや捻じれを綺麗にするために厚さを25㎜まで削ることにしました。綺麗に木取りした材は、建て方の時に一緒に持ってきていただきました。

注入材の入った、デッキの大引き。薬剤が中まで浸透していることがわかります。

デッキに張ってみると、まだ銅特有の緑色が目立っていました。時間経過ともに、色も落ち着て馴染んでくると思われます。この変化を見るのも1つの勉強ではないかなと感じました。

アカデミーでは、ACQ注入材を利用している施設がもう一つあります。それはmorinosの北デッキです。その違いを見てみるのも面白いかと思います。

アカデミーの辻先生がmorinosの床の材料についてのことも書いていますので、そちらもご覧になってみてはいかがでしょうか。

表層圧縮・ACQ・圧密 3種類の床材(morinos建築秘話5)

この防腐防蟻剤を注入した材を利用した自力建設は初めてなので、5年、10年経ってどのように変化するかを学ぶことのできる自力建設となりました。長く残る自力建設になれば、いいなと思います。

クリエーター科 2年生 杉山 優真