自力建設 公開プロポーザル&講評会
21年目となる自力建設の公開プロポーザル&講評会を開催しました。
過去最大となるクリエーター科 木造建築専攻11人の学生による設計提案です。
全校生+教職員に対して自ら考えた設計をプレゼンします。
今年度の課題は「屋根付き自由通路」。課題内容についてはこちらのブログをご覧ください。
提案者は1年生なので、入学して2カ月弱、課題発表からわずか1カ月。
その中で最大限悩み抜き、計画をまとめ上げ、プレゼン資料をまとめて、思いを伝える。
どの学生も個性が発揮された計画案と素晴らしいプレゼンテーションでした。
会場全体に心地よい緊張感がありました。
この1カ月間を振り返ると、建築に初めて触れる学生もいる中、よくぞここまで成長しました。
思い起こすと、いろいろなことをやってきました。
まずは、これまでの自力建設に触れ、授業を通して実際に実測したり、
樹木の生い茂る計画予定地周辺を測量したり、
先輩からプレゼンの手本を見せてもらい、どのように内容を組み立てるか考えたり、
関係する方々にアンケートを取ったり、インタビューしたり、
初めて図面を書いたり、模型をつくったり、
濃密な時間。
それらの成果をぶつけるのが毎年この時期に開催する「公開プロポーザル&講評会」です。
さて、どのような提案があったのか、少し触れてみます。
現状の主な課題
・校舎間の移動の際、雨や霜で滑りやすく危険
・照明が少なく、夜間に段差の視認が困難
・広いウッドデッキのメンテナンスの手間がかかり、かつ更新計画が難しい
これらの課題を解決しつつ、
施主である木工教員の前野さんの思いを実現します。
・「アカデミーらしさ」を感じる象徴的な場所
・「ワクワク」する場にしたい
11人、それぞれに様々な視点で上記の内容を満たした提案がありました。
さらに、計画を行う上でどのように捉えるか非常に悩ましいポイントがあり、学生自身も悩みながら自らの答えを見つけていきます。
一つ目のポイントは、既存の校舎との関係をどのようにとらえるかです。
今回の自力建設は、既存のアカデミー校舎にかなり近接します。
ある学生は、既存の校舎に敬意を払い、現在の建物の魅力を如何に崩さないように、目立たないようにしたり、なじむ形を考えたり、、、
また別の学生は、少し異質な形態を挿入することで、空間に更なる魅力を付加しようとしたり、、、
二つ目のポイントは現在の心地よい木漏れ日の光をどのように扱うかです。
ある学生は、現状の光を邪魔しないように明るい空間を維持するために、空地を広くとったり、
また別の学生は、わざと陰を作り出すことで、光の空間を際立たせています。
対照的な提案内容も多くありましたが、プレゼンを聞くとどの提案も納得できます。
この通路は一年後には竣工して利用され始めている予定です。
参加した学生たちも、自分が使用する施設になるので他人事ではありません。
休憩時間には、模型や図面が置かれた提案ブースで活発な意見が交わされました。
全員の発表が終わると、副学長と施主の前野さんから、全体の講評をいただきました。
両社から好印象な評価をいただきました。
通路の設計というそっけない課題に、良くここまで魅力的な提案が出てきたものです。
最後に、発表者11名と熱心に聴講いただいた参加者の方々に労いの拍手で閉幕です。
提案内容は学生ホールに場所を映し、今週末までの投票期間を経て、来週には代表の設計者が決定する予定です。
准教授 辻 充孝