授業紹介(植物観察の基礎)
クリエーター科森林環境教育専攻の専門科目、「植物観察の基礎」が始まっています。2回目の今回は、進化的に原始的な植物群「基部双子葉類」に属するモクレン科のホオノキの花の観察です。雨の中学内のホオノキの花を1個いただいて室内で観察しました(写真1)。
まずはひたすら分解してパーツごとに整理しました(写真2)。雌しべは1本1本外すのが(労力的に)辛かったので、そのまま軸に残しました。
写真2 雄蕊の本数が多くて並べるのに一苦労・・・。
パーツの内訳は以下の通りです。
・外花被片3枚
・内花被片8枚
・雄蕊222本!(うち72本残存)
・雌蕊195本!!
雄蕊はかなりの数が既に落ちていましたが、軸に残った跡を数えました。葉序と同じく螺旋状に配列しているのが分かりますね(写真3)。
苦労しましたが、一つの花に多数の雄蕊(おしべ)と雌蕊(めしべ)があるという進化的に古い花の構造を確認することができました。最後に新しい花で雄蕊と雌蕊ごと軸を輪切りに(写真4)。
期せずして美味しそうです(笑)。花の匂いは開いた花で良い匂い、開花前のつぼみを無理矢理開いて匂いをかぐと、薬品臭に近い匂いがしました。開花前には虫に来て欲しくないのかも、と思いました。
この季節、山を歩いていると遠くに目にするホオノキの花ですが、手にとって詳しく見てみたり、採集して分解してみると新鮮な発見があります。冬に地面に落ちているホオノキの実が落ちた残骸も、また違って見えてくると思います。ホオノキの花から原始的な植物の世界を想像してみたら、多少ロマンが感じられるかも??
森林環境教育専攻教員 柳沢直