獲ることで森林を守る!? Cr科1年生「森林獣害の基礎」開講
今年も、クリエーター科の森林獣害対策関連授業が始まりました。科目名は、「森林獣害の基礎」、4回シリーズの講座です。
森林獣害の平成29年度林業白書によれば、近年、野生鳥獣の生息域拡大を背景として、シカやクマ等の野生鳥獣による森林被害が深刻化し、その被害面積の約8割をシカによる被害が占めており、全国的にもシカの分布域は拡大傾向が続き、生息密度が著しく高い地域では、下層植生の消失など、森林の有する多面的機能への影響も懸念されているとのこと。
シカによる森林被害は、今後、健全な森林を維持し、木材資源を持続的に確保していくうえで、大きな障害となると考えられており、対策の強化が望まれています。
こうした中、森林文化アカデミーでは、森林獣害対策に必要な知識と技術を学ぶための科目を設定し、人材育成に取り組んでおり、「森林獣害の基礎」もその一環の科目です。
初日の6月19日は、午前中、森林獣害の概論として、森林被害の現状や森林害獣の種類、加害獣の見分け方等を説明、午後からは、岐阜県環境企画課桐井技術主査に講師をお願いし、岐阜県における県内の被害状況、関係法令、被害対策等について説明を受けました。
2日目の6月26日は、森林研究所の岡本専門研究員に講師をお願いし、ニホンジカの生態等を学部とともに、午後からは、郡上市の現場に出かけ、試験地における被害状況の観察や、ツリーシェルター設置現場を見学等を行いました。
3日目、4日目の授業では、アカデミー演習林新植地での防護ネット設置実習や、郡上市での獣害対策実施状況の見学等も予定しています。
アカデミーでは、このほか、クリエーター科2年生向けに、「野生動物捕獲実習」、森林獣害対策プロジェクト授業も設定し、捕獲技術を含む森林獣害対策を学ぶ一連の講座として、現地、現物の学びを提供していきます。また、今年度から、エンジニア科にも、同様な科目として「森林獣害」を新設しています。
森林獣害対策は、森林を働きの場とし、森林を一番理解する林業関係者が、中核的な担い手となり取り組みが進められることが理想と考えます。
この授業を受講する学生たちが、森林獣害対策の知識、技術を備え、捕獲対策まで自ら行える森林技術者、「森林の守り手」として巣立ってくれることを願います。
以上、報告は、担当 伊佐治でした。