涌井学長が基調講演:揖斐川町「未来センター会議」キックオフ・シンポジウム
6月10日(土)揖斐川町地域交流センター「はなもも」にて、涌井史郎学長が基調講演をされた「未来センター会議」キックオフ・シンポジウムが開催されました。
富田町長が第2次総合計画の推進母体として提唱された「未来センター会議」は、町民参加型のプロジェクトとして期待が大きく、会場には450名が詰めかけました。町と連携協定を結んでいる森林文化アカデミーも涌井学長が第1部の基調講演、第2部のパネル討論のコーディネータ-を務めるなど全面的に協力をしました。以下、当日のハイライトを報告します。
第1部:基調講演「揖斐川町のまちのこし戦略」で涌井学長は、2050年に向けた長期予測では日本の生産年齢人口が縮退していく中で地方圏の生き残りは厳しい状況にあること、リニア新幹線が整備されればストロー現象により地方から都市への人口流出はさらに加速するだろうと認識を示されました。しかし揖斐川町をはじめ地方圏は「自然資本」の宝庫であり、これからの社会は生きる「幸福感」が大きな価値になることから、都市→地方への「逆ストロー現象」が起こる可能性があると述べられました。
揖斐川町からは3名の活動報告がありました。1人目は「揖斐川ワンダーピクニック」実行委員長の久保田大介さん。空洞化する町の中心市街地を元気にしようと神社や商店街を巻き込んで若者達が中心となって町の人口に匹敵する2万人を集めるフェスを創り出しました。2人目は「小島公民館」主事の衣斐敦美さん。子育てする女性学級、中学生を中心とした夏祭り、機動的な動きをするチーム小島など20年にわたって公民館を中心とする地域づくりのお手本のような実践をされてきました。3人目は「春日 古(いにしえ)学び」代表の田口龍治さん。13年前に東京から移住してきた田口さんを中心に今や7家族27人が春日地区に新規居住しています。小学校の児童数を増やし、農業や祭りの担い手として大きな力になっていますが、田口さんは「先人先輩が伝えてきた知恵に謙虚に学びたい」と語ります。
第2部:パネル討論「自分たちの町の未来を、自分たちで考える」は涌井学長コーディネートにより、富田町長、3名の報告者が意見交換しました。さらに本シンポジウムを裏方で支えた「未来センター会議 運営チーム」30名が背後にずらりと座って参加型の地域づくりを体現していました。
パネル討論のテーマは、①危機感の共有と未来への思い、②コミュニティの役割でした。3名の報告者からは、「揖斐川は便利さよりも大切な豊かさを学べる町」「 公民館を拠点に皆が自分のできることをやる(活動人口を増やす)」「年に一日の祭りだけでなく日々の幸せに波及するような祭りを作りたい」など地に足の着いたコメントが印象的でした。
フロアからは、フランスから帰国して神社を継いだYさんが「外国人の目で見れば揖斐川町は文化的な宝の山」といった意見も出されました。最後に会場全員が立ち上がり、涌井学長の掛け声で「揖斐川町を変えていくぞ~!」エールを叫んで閉会しました。この日を境に、町民の気持ちが前を向き始めたと感じるシンポジウムでした。
報告: 嵯峨創平(揖斐川町駐在)