渋い講座です?!
柿渋を活用する
里山景観マイスター養成講座 Advance コース第2回目は、前回に引き続き山県市伊自良平井地区で開催されました。今回のテーマは伝統の伊自良大実柿を使った柿渋の活用です。
午前中はまず柿渋の原料となる青柿の収穫と、昔ながらの工程による渋の搾り出しを行いました。午後は本アカデミーで木工を担当している久津輪先生による柿渋の塗装講座をメインに、柿渋の利用に関する講座を行いました。
まずは伊自良大実連合会の佐野敬二会長から、昨年と今年の柿渋用渋柿の出荷状況と作柄についてご説明がありました。昨年に比べて今年は豊作で、二倍以上出荷できたそうです。
特別ゲストに「柿渋」の著者でもあり、柿渋を何十年も研究されてきた今井敬潤先生をお呼びし、お話を伺いました。
その後実際に柿畑で柿もぎを体験します①。ハサミ等は使わず、片手でもぎ取ります。あっという間にケースが青柿で埋まっていきます。収穫した柿は袋に入れたまま叩き潰して、割れたものを搾り器に入れます②。搾り器を大人4~5名で廻していくと③、じんわり渋が桶からにじみ出してきます④。集めた汁は結構な分量になりました。ただし、機械で搾ると同じ量の柿から二倍程度の汁が搾れるそうです。
午後は久津輪先生の塗装講座です。塗装とは何か、柿渋の塗料としての特性について学びます。
美濃市在住の和紙職人、加納武さんにも来ていただき、柿渋で染めた和紙製品を見せていただきました。写真で加納さんが着ているのが、昔から使われてきた和紙でできた服で、軽くて風を通さず暖かいそうです。これを柿渋で染めれば丈夫で長持ちする服になりそうです。伊自良大実の柿渋とのコラボが期待されます。
実際に、柿渋と弁柄を混ぜた赤や茶色、黒の塗料や、鉄媒染と柿渋との反応で黒くなる塗料など、柿渋を活用した塗料を杉の板に塗ってその色や質感を確認します。渋い赤や紫色を帯びた黒など、色々な色が出ることが分かります。
最後に柿渋を使った染色を見せていただきました。柿渋だけでも何度も漬けることによって布を染めることが可能ですが、チタンや鉄、消石灰などの媒染液に漬けることによって短時間で色々な色に染めることも可能だそうです。
一日の講座でしたが、非常に盛りだくさんで色々な発見がありました。毎回柿という素材の奥の深さを感じます。講座にご協力いただいている伊自良大実連合会の皆さま、地元平井の皆さまにはこの場を借りて厚く御礼申し上げます。
柿の活用はまだまだ続きます。
次回は平井の名物である連柿(干柿)の作成を行います。
准教授 柳沢直