昆虫・魚類同定実習2016|昆虫編
8/3にクリエータ科の授業「昆虫・魚類同定実習」を実施しました。
この授業では森林をはじめとした里山環境に生育する樹木以外の生物の採取・同定について学びます。森林環境教育の現場では,昆虫・魚類は最も身近な生き物です。また,生物多様性に配慮しながら自然環境を利活用していくためには,これらの生物を発見・同定する能力は必要不可欠です。
今回は昆虫の回です。野外に出かける前に,昆虫とはどんな生物で,どんな危険な昆虫がいるのかについて講義を行いました。ハチについては他の授業で既にレクチャされているのですが,それ以外にもツチハンミョウやドクガ,イラガ類など,危険な昆虫はそこここにいるものです。
その他,採取方法についての講義を行った後で,市内の山地で実際に採取を行いました。写真は網を使ったスウィーピングです。一見どこにも昆虫がいないように見えますが,スウィーピングやビーティングを行うことで,隠れている昆虫を採取することができます。
採取した昆虫は標本作製と同定のために,毒瓶に入れて持ち帰ります。チョウやトンボは翅を傷めないように三角紙に入れます。
アカデミーに戻った後は,ゼミ室での作業です。まずは脱脂綿の上に昆虫を載せ,脚を広げて整えます。
丁寧に作業するとこんな感じになります。
チョウやトンボは展翅板の上で丁寧に翅を広げます。
特にチョウは慎重な作業が要求されます。
脚や翅を広げたら,ここから先は図鑑を使った同定になります。昆虫は種類が多いので,分類群毎に図鑑があり,最初はどこから手を付けて良いのか分からないものです。ある程度見当がつけば良いのですが,そうでない場合,まずはいろんな昆虫が載っている一般的な昆虫図鑑から始めます。似たものが見つかったら,次は専門の図鑑を使います。
昆虫の同定では,図鑑に載っている体サイズや分布域が,手元の標本と一致するかどうかが一つの目安となります。
少し授業時間を超過してしまいましたが,採取してきた昆虫の8-9割を同定することができました。最後にそれぞれの調べた結果を発表し,皆で結果を共有しました。
今回の授業では,どんな昆虫が危険なのか,どうやって採取するのか,どうやって図鑑を使うのかについて学びました。普段やっている樹木同定とは異なる点を理解できたかと思います。本日の学びを今後の個人の進路と関連付けて役立てていってもらえれば幸いです。
講師:玉木一郎