手工具1〜ノミ、カンナの基本を学ぶ
クリエーター科1年前期「手工具1」の授業です。この授業では、ノミやカンナの研ぎ方、使い方を学びます。
去年までは木工を専攻する学生だけが学んでいたのですが、今年からは時間割を調整し、木造建築の設計を学ぶ学生や、林業、環境教育を学ぶ学生も選択できるようになりました。今年は17人が実習に取り組みました。
1つ目の課題はこちら。これ、何だかご存知でしょうか。
飛騨に伝わる「千鳥格子」と言われるものです。木と木がまるで編んだように組み合わされています。
このように、5本の同じピースと、1本だけ欠き取りの浅いピースからできています。隙間なく組むには、ノミで直角に欠き取らなければなりません。
この課題は岐阜県にまつわる題材で、ノミの加工の反復練習にもなり、できあがれば鍋敷きとして使うことができる優れものです。
学生たちはまず買ったばかりのノミを研ぎ、使える状態にする方法を学びます。
ノミの準備ができると、欠き取りの施されていないピースを6本渡されます。これに「罫引き」という道具で墨(欠き取りの目印線)をつけ・・・
ノコギリで切り込みを入れ・・・
ノミを垂直に構えて欠き取ります。
6本作って、組み合わせることができれば合格。かつて飛騨の匠はこれを隙間なく組んだことから、長い間、千鳥格子は謎の組手だったのだそうです。隙間が大きいと、組手の秘密がバレてしまいます。
森林文化アカデミーを卒業しても全員がノミやカンナを扱う仕事に就くわけではありません。しかし、刃物を研ぎ、道具の基本的な扱いを体験することや、木材を切ったり削ったりする感覚を体で味わうことは、他のさまざまな仕事にも生きてくると思います。