自力建設
木造建築専攻の学生を中心に学生たちが設計、施工、利用している施設群。小さな建築ですが、どれも本格的でアイデア満載の建物です。
自力建設の教育プログラムで、「2016年ウッドデザイン賞」「2007年建築学会教育賞」を受賞。
自力建設は学内に点在して建設しています。
栞(2024年度自力建設)
小規模木材乾燥庫の計画
ほとりの櫓(2023年度自力建設)
丁稚基地(2022年度自力建設)
今回の自力建設は、2007年度の自力建設「地空楼」を増改築し、木造建築倉庫を建築することでした。
丁稚という言葉は、大工などの職人仕事で、門下に弟子入りした新入りなどのことをいいます。それは、立場は違えど新しく建築の世界に夢を持ち勉学や技術習得に励む私たちに近しいのではないかという思いと、コンセプトの秘密基地にかけて「丁稚基地」と名付けました。
またここを利用するすべての人が、こだわりと愛着を持って、道具と倉庫本体を扱えるように、その拠点となれるという思いが込められています。
木立のこみち(2021年度自力建設)
樹状架構が人と人をつなげる「みち」となる
ウッド・ラボ棟前面に広がるウッドデッキは、学生たちがグリーンウッドワーク(生木を使った木工製作)を行う場。そして、休憩や昼食を取る交流の場でもある。
この空間に、庇・屋根付き通路から構成する「木立(こだち)のこみち」を建設した。
アカデミーの雰囲気に適した形態として「樹状」で庇・通路のデザインを統一し、柱梁・方杖を細い部材としたことで、既存の校舎や植栽空間にも馴染む軽やかな架構となり、快適な軒下通路・休憩の場・木工製作の場が生まれた。
みどりの アトリエ 「アイデア が生まれる空間」(2020年度 自力建設)
2008年竣工の自力建設の「ほたるの川床」の改修と、1人で籠って作業ができる個室を兼ね備えた複合施設。改修した広間では、アイデアを生む場所を選べるような空間構成となっている。
対話がしやすい有機的な形のテーブルや、外の景色を見ながらリラックスするためのソファ、アイデアの共有をするためのホワイトボードやモニターが設置してある。
また、増築部の個室は1畳ほどの空間で、窓からの景色を極力減らし集中して作業ができる空間となっている。エアコンとインターネット設備も整っている。
みどりの アトリエ 「アイデア が生まれる空間」HPはこちらから
Cobiki ~簡易製材小屋~(2019年度 自力建設)
森と人がつながる場所
テクニカルグラウンドは山と街との中間地点にあり、Cobikiはそこに建つ。
簡易製材機ホリゾンが設置され、丸太からの製材が容易にできる。
丸太の搬入がしやすいように広い開口になっており、複数人での作業も安全に行える。壁面には桟積みに使用する桟木や、帯鋸等が収納できる。ホリゾンのレールを跨ぐことを防止し、また仮の乾燥場としても使えるよう、レールカバーを製作した。
材料にはスギとヒノキを使用し、また仕上げを一部帯鋸仕上げとしたことで、樹種による経年変化の違い、仕上げによる経年変化の違いを見ることができる。
森のいちだんらく(2018年度 自力建設)
2006年竣工の自力建設のシャワー室「桂の湯殿」の改修と、休憩室を兼ね備えた複合施設。
バイオマスボイラーを太陽熱給湯に置き換え、ボイラースペースに和室の休憩室を増床、劣化箇所の診断と修繕により機能回復を計った。
また、図書コーナーを併設した休憩室を隣接して建設した。こちらには焼杉をすのこ状に張った外壁が周囲の空間を引き締め、内部はリクライニングチェアを配した個室2ブースが設けられ、空調も含め快適に利用できる。
里山獣肉学舎(2017年度 自力建設)
狩猟により得られた獣肉の解体施設
林業の実習棟で捕獲されたイノシシ、シカなどを解体し、精肉として処理する施設。解体の一連の流れを学べるように、通常の解体施設とは異なり開放的なつくりとなっている。
二本ある丸太の搬入された獣を吊るし、泥やダニ等を洗い流し、専用の架台を用いて建物内部に移動する。内部では、電動ウインチなども活用しながら効率的に切り分け、最終的に精肉まで処理する流れを作っている。
下見板張りで経年変化を楽しめる外観と、衛生のため洗い流しやすい室内仕上げとなっている。
Oasis(2016年度 自力建設)
自然体験活動の拠点となる炊事場。
森のようちえんやプレーパークなどの子供たちも含め、アカデミー学生も活用し、オアシスとなるような水場。
丸太も用いた樹状トラス構造を構造解析で説き、複雑ながらも力強く利用者を包み込む自然な造形となっている。屋根は2枚の葉をモチーフに、雨水を集める仕掛けを施している。
第16回 ぎふ 建築・生活・芸術系学生・生徒優秀作品展 優秀賞 受賞
第16回 ぎふ 建築・生活・芸術系学生・生徒優秀作品展 岐阜県建築士会 会長賞 受賞
SOMA’s Hut ソマズハット(2015年度 自力建設)
現代の杣人のための小屋
演習林を利用する人、森が好きな人、そういった現代の杣人にとっての”hut(小屋)”であり、日差や雨から守ってくれる”hat(ひさしのある帽子)”のような建物。
山側から降りてくる人を受け止めるような形状と庇を持ち、周囲の自然とは格子を用いて緩やかに区切る。
土地にもともとあったもの(岩、木材、樹木)も利用し建物とその周りの環境をつなげることに生かしていった。
第15回 ぎふ 建築・生活・芸術系学生・生徒優秀作品展 優秀賞 受賞
Soma’sHut リーフレット
森湊灯台(2014年度 自力建設)
森林文化を象徴する「森のあかり」をコンセプトとした高さ10Mの木造灯台である。
日が暮れると上部にあかりが灯る。
”清流の国ぎふ”には、舟運の拠点として川に灯台がつくられてきた歴史がある。
長良川河川敷に現存する「川湊灯台」(県指定史跡)をモチーフに、私たちは森林を舞台に灯台を建設した。
アカデミーのランドマークとして、演習林”山の神”が地上に降りてくる宿り木となるよう、
建物中央に高さ8Mの桧の「心柱」を据え付けている。
第9回 建築コンクール「闇の建築」優秀賞 受賞
第14回 ぎふ 建築・生活・芸術系学生・生徒優秀作品展 最優秀賞 受賞
闇の建築 優秀賞 受賞
第19回 木材活用コンクール 第4部門賞受賞(ランドスケープ・インスタレーション部門)
森湊灯台 リーフレット
おうらいの茶の間(2013年度 自力建設)
アカデミーセンターとマルチメディア実習等をつなぐ渡り廊下を建設した。
学生が行き来する中心的な位置関係から、茶の間のようにくつろいで交流がはかれるように、ベンチは、お盆なども設置し、季節の良い時には学生が語らう姿が見れる。
壁のない構造ながら、安全性を確保すべく、木質ラーメン構法と、樹状に跳ね出した方杖によって開放的な建物となった。
第13回 ぎふ 建築・生活・芸術系学生・生徒優秀作品展 最優秀賞 受賞
おうらいの茶の間 リーフレット
木漏れ日の塔(2012年度 自力建設)
アカデミーの入り口にそびえるアカデミーのサイン計画を兼ねた建物である。
内部は複雑に組まれたトラス材があたかも枝のように張り巡らされそこを通る光が木漏れ日のように映える。
来校者の一番最初に目に留まる建物である。
塔の下をくぐれば、散策路とつながるゲートの役割もはたす。
第12回 ぎふ 建築・生活・芸術系学生・生徒優秀作品展 最優秀賞 受賞
木漏れ日の塔 リーフレット
森のインターチェンジ(2011年度 自力建設)
校内の複雑な建物の動線を整理すべく、校内の中心にシンボリックな建物を計画した。半円形の持ち上がったデッキのある特徴的な建物で、目印となる。
デッキに上がると、樹冠の高さまで視線が上がり、自然観察の場となったり、見晴らしの良い景色を見ながら昼食をとる場にもなる。
第11回 ぎふ 建築・生活・芸術系学生・生徒優秀作品展 最優秀賞 受賞
森のインターチェンジ リーフレット
あらかしのだんだん(2010年度 自力建設)
2002年度の「みさきのちゃや」のデッキは風雨にさらされて劣化したため、外部デッキの改修に加えたバイオマストイレとして建設した。
デッキの劣化の原因を解体しながら研究し、その対応策として、いくつかの工夫を凝らして階段状にデッキを再構築した。
バイオマストイレは、おが粉と糞尿を混ぜることで、たい肥化を行う。
きちんと発酵させれば匂いも少なく、清潔感が保たれる。
HINOPI賞(加子母森林組合理事長賞)第1回木造建築AWARD
特別賞 第1回木造建築AWARD
WAC!WAC!賞 第1回木造建築AWARD
アラカシのだんだん リーフレット
こならのみち(2009年度 自力建設)
半屋外の活動の場として、コナラの木々の間に建設した。詰めれば20人程度が入ることができる。テクニカルセンターとコテージの中間に位置し、ここで行われる活動は行き来する人々の目に留まる。自然観察の拠点に、ある時は森のようちえんの活動が行われ、雨の際は避難場所として活用される。
3段に作られた屋根が空間にメリハリを、台形の床が方向性を与えて、自然に視線の方向が決まる。
こならのみち リーフレット
ほたるの川床(2008年度 自力建設)
アカデミー校内を流れる小川の上に、学生会室を建設した。
アカデミー校舎のモチーフの格子を入れることで、構造性能を担保しながら、内部と外部を緩やかにつなぎ、木漏れ日などが室内に入り込む。夜は、格子から光が漏れ活動が灯る。
鉄筋コンクリート造(RC造)の基礎から鉄骨(S造)の片持ち張りを跳ね出し、木造の小屋を上部つくるという各構造を活かした混構造の建物となった。
ほたるの川床 リーフレット
地空楼(2007年度 自力建設)
学内に配されたネイチャートレイル(自然の小道)上にはフォリーが点在しているが、活用されずに放置された最後の「黒の迷路」を自力建設により浮き彫りにしたい。 そこで、「黒の迷路」の活用、この建物が建つレベルから一段上がったフィールドをつなぐ階段の機能、そしてフィールドで行われる炭焼き体験時等の休憩場所としての機能を併せ持った、「連結施設」を建設する。 あわせて、この連結施設も含まれることになるネイチャートレイルを学内に形成し、環境教育に活用することを目的とする。
地空楼 リーフレット
桂の湯殿(2006年度 自力建設)
学内では実習が多く、汗をかいたり汚れたりすることが頻繁にある。実習の後、汗や汚れを簡単に洗い流し、その後の講義やゼミにリフレッシュした気持ちで参加したいという希望と、アカデミーで実施される地域のこどもたち対象のキャンプなどでコテージに完備された浴室を利用するだけでなく、森の中の「シャワー室」を利用することで環境教育をさらに有意義なものにしたいという目的から森のシャワー室を建設することになった。
桂の湯殿 リーフレット
switch(2005年度 自力建設)
自転車通学できる距離に住んでいても便利さにひかれ自動車通学する学生が少なくない。また、美濃市周辺及び校内も自転車利用者にとって快適な環境であるとは言い難い。そこで、省エネかつ健康的な自転車利用生活を楽しめる、そんな魅力的な空間、「アカデミー駐輪場」を建設しようということになった。
switch リーフレット
風の円居(2004年度 自力建設)
環境教育研究会の提供するカリキュラムには、グループカウンセリングやワークショップ論という科目がある。少人数で集い、寝食を共にし、何かをつくり上げていく集中講義である。このような活動にふさわしい場の提供の他、夏の子どものキャンプ、普段からの学生の利用も可能な多目的空間としてのあり方も求められた。10人程度が生火を見ながら円く座れるという要望を満たすと同時に多目的に利用が可能な空間をつくること、また、機械に頼った生活を見直し、本来の体と心の調節機能を回復させるため、自然環境から多くのものを取り込むことを考えた。
風の円居 リーフレット
円八(風の円居 家具WS)リーフレット
活木処(2003年度 自力建設)
緑豊かな国、日本。国土の2/3は森林が占める。しかし外材普及率は80%を越え、国内の林業は不振に喘いでいる。そんな中で国産材の活用が叫ばれ、その解決の一端を担うと考えられるのが、今回のテーマ、木材の乾燥である。活木処に求められたもの、それは自然のエネルギーを利用した木材の乾燥であった。利用者の要望にかないつつ、木材にとっても周辺環境にとっても、理想的な乾燥方法をここで模索し、実践することを目的とする。
みさきのちゃや(2002年度 自力建設)
「みさきのちゃや」の主用途は、地域の子供たちを対象にした“環境教育プログラムキャンプ”における屋外厨房である。日本の多くの屋外厨房はカレーライスやバーべキュ-にしか対応していないが、ここでは家庭で行われる炊事に関して全て対応できるようになっている。未来を担う子供たちがこの「みさきのちゃや」で何かを感じてくれるとうれしく思う。
第1回木の建築賞 優秀賞 受賞(木の建築フォラム主催)
みさきのちゃや リーフレット
森の中の四寸傘(2001年度 自力建設)
アカデミー演習林内の松跡平に造られた八畳の休憩小屋。構造材は全て四寸角(120mm角)で構成され、雨水を集めるように傘をひっくり返したような逆方形の屋根が特徴となっている。内部には可動式のベンチと囲炉裏が設置されている。
この建物は住宅建築2002年8月号で取り上げられました。
第一回木の建築賞 優秀賞 受賞(木の建築フォラム主催)
森の中の四寸傘 リーフレット