日独林業シンポジウム開催!
6月8日現地時間8時から日独林業シンポジウムがドイツで開催されました。シンポジウムは日独両国の林業振興と交流を目的として、バーデンヴュルテンベルク(以下BW)科学財団の助成を受けています。
会場はドイツBW州のロッテンブルク林業単科大学です。会場には日独合わせておよそ100名の参加者が集いました。 Bastain Kaiser ロッテンブルク林業単科大学学長、鹿児島大学の寺岡行雄教授や林野庁の本郷浩二森林整備部長による開会挨拶が終わると、ドイツ連邦食料農業省のMatthias Schwoerer 氏によるドイツ林業の概観、そして林野庁福田淳氏による日本の森林政策についての説明がありました。さらに、「変革期にある森林産業」と題してバーデンヴュルテンベルク州地域・消費者保護省のMax Reger 氏より報告がありました。
それぞれの講演は複数の通訳者の方がドイツ語←→日本語の同時通訳を行い、参加者はヘッドセットにてそれを聞くという仕組みです。
さて、休憩を挟んだ次のセッションでは「日本の地域における林業、木材産業、人材育成」と題しまして川尻秀樹副学長による森林文化アカデミーの教育・活動の報告です。日独多くの参加者の方にアカデミーのことを知っていただく機会でしたが、アカデミーについての質問も多く出ました。ヨハン・ハインリヒ・フォン・チューネン研究所のHeino Polley 氏からは「国家森林調査」についてお話がありました。これは10年に一度行われる抜き打ちの森林資源調査であり、ドイツ林業の持続可能性が担保されるためには欠かせない調査です。
昼食をはさんで午後からは、ロッテンブルク林業単科大学の Artur Petkau 教授からはドイツにおける林産物企業の経済状況について、鹿児島大学の寺岡行雄教授からは、日本における正確な情報とICT技術を活用した新たな林業の課題について正確な数字を交えてそれぞれご報告がありました。
さらにバイオマスに関しては、森林バイオマスを活用した再生可能エネルギー供給事業を展開している会社を経営する、Markus Mann 氏から具体的な事業の実情や経営の苦労などについて伺いました。さらにロッテンブルク林業単科大学のStefan Pelz 教授からはドイツ国内の再生可能エネルギーを含むエネルギー事情についてお話がありました。最後に岩手大学の伊藤幸男准教授から、空白の20年を経て再び盛んになってきた日本のバイオマスエネルギー利用の現状についてご報告がありました。
シンポジウムは朝から夕方まで長時間に及びましたが、食事やディスカッションの時間を長めにとってあるため、ゆったりと議論を深められるゆとりが感じられました。 個人的には Reger 氏の紹介されていた「林業の中心は木ではなく人である」というお話が印象に残りました。ドイツでは森林を取り巻く多くのステイクホルダーをどう納得させるか、と言う点に多く心が砕かれているということでした。
懇親会も含めて日独林業シンポジウムは大盛況に終わり、次年度は日本での開催が決定され、閉会となりました。 皆さんお疲れさまでした。開催に関わったすべての方に感謝したいと思います。 来年またお会いしましょう!
教員 柳沢 直