オープンカレッジ「ハチの家をつくろう」はじまりました
教員の津田です。
5/14(土)にオープンカレッジ「ハチの家をつくろう」の第1回目の講座を開催しましたので報告します。この講座は関市、美濃市を中心に自然環境、野生生物の保全活動に関わっている岐阜・美濃生態系研究会さんとの連携講座です。昨年はニホンミツバチ協会さんと連携してニホンミツバチの巣箱づくりを行いましたが、今年は少し趣向を変えて、ニホンミツバチだけでなく様々な昆虫達が利用できるような小屋(ハチの家)をつくり、その中に昆虫の住処(すみか)となるような素材を設置しようという講座にしました。小屋やすみか作り、そしてそれを利用する昆虫達の観察を通して、森林をはじめとする自然環境や人と野生生物との関わりについて新たな視点を得ていただくことを目的としています。
親子参加も多く、子供が半分くらい。最初に昆虫のクイズ等で話を進めますが、私の話はちょっと長くて子供たちが少し飽き気味に。。。少し反省。岐阜・美濃生態系研究会の三輪さんには北海道のアイヌの人たちの茅葺き屋根の茅に巣をつくるハチの話をしていただきました。そこでは屋根の回りに雲のようにハチ(おそらくマメコバチの仲間)がわんわんと飛んでいたそうです。ミツバチのように大きな群れで生活するハチではないので、無数の親バチがそれぞれに茅の空洞に巣を作っているのでしょう。かつては家屋に多くの自然素材が使われ、そこに沢山の昆虫が棲んでいたことが想像できます。また家の回りも今とはずいぶんと違う環境だったと思われます。ドイツのハチ小屋の話等もしていただき、今回の講座の主旨を説明した後、作業に入ります。
2年前に学生実習で作ったニホンミツバチ用の小屋を大まかなパーツに分けて移動して来たものを、あらためて組み立てます。木工はお手の物、といった方も多く参加していたおかげで着々と作業が進みます。雨漏りしないように塩ビの波板を屋根に貼って完成。しかし波板を貼ると一気に見た目が安っぽく。。。これは次回の講座の際に茅葺きに取り替えることを皆で誓い合います。
大人達がこの作業をしている間、子供達は小屋が元あった場所にいき、「ありじごく」の採取をしてきました。「ありじごく」はウスバカゲロウという昆虫の幼虫で、かつては縁側下などの乾いた砂のある場所によく見られたものです。今回、小屋の移動に伴って、元いた場所が雨ざらしになり「ありじごく」が暮らすには適さなくなってしまったので、新たに小屋を建てた場所に移動させることにしたのです(アカデミー構内での移動なので、問題ないと判断しました)。作業の合間に顕微鏡で観察し、皆さん盛り上がっていました。
昼からは小屋の中に設置するハチの住処づくりを行いました。ここで狙うのは竹等の穴の空いた素材を住処とする管住性のハチ類。アオムシやクモを捕まえて麻酔をかけ幼虫の餌とする狩蜂の仲間や、花の花粉を集めて幼虫を育てるハキリバチ類が対象となります。色々な径のササやタケの桿を節ごとに切り、それらを束ねたり、すだれ状につなぎ合わせました。
用意したタケにすでにハチが住みついていて飛び出してきたりというハプニングも。タイワンタケクマバチという最近美濃の周辺でも増えて来ているクマバチの仲間でした。とくに攻撃的な種ではありませんが、外来種なのでこれは捕獲することに。
自分が作ったものが分かるように名札をつけて完成。
小屋に設置します。沢山入ってくれるといいですね。次回の講座の際には住人(住蜂?)に会えるかな?
救出して来た「ありじごく」も木箱に入れて雨がかからない所に設置しました。ここでさらに増えてくれることも期待。
最後に小屋の前で蜂のポーズ(手の先が蜂の針のつもり)で記念撮影。講座の運営はすこし慌ただしいところもありましたが、皆さん、積極的に楽しく作業していただきました。ありがとうございました。次回は7月です。今回設置した住処の観察に加え、夜の森の昆虫観察、灯火採集などを予定しています。
(5/19現在設置した竹筒にすでに2種類のハチが出入りしているのを確認しました。)