自力建設2020年“夏の大工合宿” ~刻み編~
こんにちは、20期の木造建築専攻学生の杉山です。
今回は刻みについて書いていきたいと思います。前回の『自力建設2020年“夏の大工合宿”~墨付け編~』から続きとなっていますの、そちらから読んでいただけると幸いです
そもそも、「刻み」とはなんだという話からしていきたいと思います。
刻みとは書いて字のごとく、丸ノコや、のみで木を墨通りに刻み、継手や仕口を作っていくことです。
木造建築を建てる中でも重要である、刻みの作業はどうだったのかを今回書いていきたいと思います。
刻み作業では、エンジニア科林産業コースに人たちも加わり、6人態勢で臨むことになります。
果たして、私たちは仮組みまでできるのでしょうか。
「今日はエンジニア科の人たちは登り梁(のぼりばり)の刻みをやってもらいます。図面ではこうなっていて、桁(けた)にかかってくるので……」
朝、集合したら今日一日を通して、なにをするのかをエンジニア科の人たちに説明していきます。前にでて、人に伝えるのは難しいと思う瞬間でした。
最初にエンジニア科の人たちは、大工の森下さんに刻む道具の扱い方と刻み方について教えてもらっていました。みんな森下さんの話を真剣に聞いていました。
鑿(のみ)と玄能(げんのう)を使って、木を刻んでいきます。あまり使わない鑿をもっての作業でしたが、みんな集中してもくもくと行っていました。
一方、筆者である私はなにをしていたかというと……
まだ墨付けをしていました。
慣れない墨付けに悪戦苦闘していました。
慣れてきたところで、エンジニア科の人たちは本番の刻みを行っていきます。自分の担当する箇所にわかれて刻みをおこなっていました。
写真の手前に写っている機械は「角ノミ」といって木に四角い穴を開ける機械になります。開けたい穴の位置刃を合わせ、そのままレバーをおろすと穴が開くという仕組みとなっています。機械で加工したあとに、鑿と玄能で角度や断面を整えていきます。
エンジニア科の人たちが墨付け通りにもくもく作業していく中で、私はというと
墨付けをしていました。
実はこの大工修行中、私はほぼ墨付けをしてました。そのぐらい私のなかで墨付けは難しい作業でした。
この墨付けの写真は「追っかけ大栓継ぎ」という継手の墨付けをしているところです。
※「追っかけ大栓継ぎ」とは
上木、下木のすべり込み部分には、1/10程度のすべり勾配を持たせ、二つの木材を引き寄せ、胴付き部分が密着するように大栓を用いる継手。(住宅建築専門用語辞典より引用)
と、文章で書かれても想像がつきにくいと思うので図で見ると下記のような継手になります。
「全然刻みやってないから、この追っかけ大栓継ぎだけでも刻めよ。」と鈴木さんに言われてしまったので、僕もついに刻みが始まりました。
なんとか「追っかけ大栓継ぎ」を刻むことができました。
ここにきてようやく、エンジニア科の人たちと一緒に作業することになりました。エンジニア科の人たちが刻んでくれた土台や柱を組んでいきます。
このように土台、柱、桁、登り梁の順で仮組をしていきました。
実は途中で、柱の加工が間違っているトラブルや、材があってないトラブルはありましたが、ついに仮組まで完成させることができました。
記念にハイ、チーズ!!!!!
無事、仮組みができたことに安堵しました。
お手伝いいただいた大工さん(かなり手伝っていただきました)、ウッドデッキに使用する材を加工していただいた匠先生(ほんとうにたくさん加工していただきました。)、刻んでくれたエンジニア科の5人、本当にありがとうございました。
次は現場でしっかり建ってくれることを祈るばかりです。
クリエーター科木造建築専攻一年生 杉山