木工事例調査 美濃 岐阜①「木工房FUKUBE」
クリエーター科木工専攻とエンジニア科2年林産業コース有志で美濃市、岐阜市にあるシェア工房、木工教室などの事例調査を行いました。
第一弾は美濃市「みの木工工房FUKUBE」です。二人の目線からのレポートをお届けします。
NPO法人グリーンウッドワーク協会代表の小野敦さんが運営されている「みの木工工房FUKUBE」を見学させていただきました。
協会の名前にもなっている「グリーンウッドワーク」とは「生木(グリーンウッド)」つまり、森から伐採したばかりの乾燥していない木のことです。その生木をナイフやオノを使って小物や家具をつくモノのづくりのことを言います。
小野さんは森林文化アカデミーの卒業生で、在学中に里山と木工を学び、「NPO法人グリーンウッドワーク協会」を設立されました。
グリーンウッドワーク協会HP http://greenwoodwork.blog112.fc2.com
「みの工房FUKUBE」は美濃市産材を使った木のおもちゃづくりの拠点施設としてグリーンウッドワーク協会が2018年にオープンした施設です。廃校となった小学校を整備されたもので、2階にはグリーンウッドワークで作られたスプーンや木のおもちゃが展示、販売してあるスペースがあり、実際に木のおもちゃで遊べる多目的ホールが隣接しています。入り口には小野さんが里山の100種類の木を使って作ったスプーンが100本展示してありグリーンウッドワークへの熱い思いが伝わってきました。(こちらの多目的ホールは一般の方の利用が出来ます)
グリーンウッドワークで製作したスプーン100本
3階には木工品の試作品開発を行う木工作業室が設けられていて、木工機械とグリーンウッドワークで木の器づくりに使う「足踏みロクロ」が設置してありました。電気を一切使わず人力で器を削り出していくそうです。現在この工房ではロクロ体験と作家さんと共同でおもちゃの開発に取り組まれているそうです。工房内にはエアコン完備して感動しました!
またグリーンウッドワーク協会では「ろうきん森の学校」の運営もされています。ろうきん森の学校とは労働金庫連合会と全国5つのNPO法人による環境教育授業です。美濃市にある森を拠点に「ものづくりを中心とした里山づくり」をテーマに活動しているそうです。グリーンウッドワークでのモノづくりや竹細工、木工以外にも講師の方を招いてハンモック作りやキノコ栽培など様々な体験イベントが行なわれています。
『ろうきん森の学校』http://www.mori-gakko.net/gifu/
森林文化アカデミー卒業生が運営スタッフとして関わっていて、アカデミーとの繋がりを感じました。今後も一緒に取り組んでいく仲間を募集されていて、「在学中には様々な経験をもった人との出会いや繋がりを大切にして欲しい」とアドバイスをいただきました。
現代はコロナウィルスによって生活や仕事のあり方が大きく変わろうとしていて、様々な事がオンラインに変わって利用されています。そんな中で今後は今まで以上に、アナログな手道具を使って木を削る事や、自然を五感で感じる事は、普段自然から離れて生活している人の心の奥にもっている感情に語りかける特別な体験になるのではないかと思います。
お忙しい中、見学のお時間を作っていただき本当にありがとうございました。
文責:水上淳平(クリエーター科 木工専攻1年)
今年度2回目の木工事例調査はコロナの影響で近隣の見学ということになりました。私からは美濃木工工房FUKUBEについて報告します。
美濃木工工房FUKUBEではアカデミー卒業生(8期生)の小野敦さんが、板取川沿いの下牧地区にある、旧下牧小学校の校舎で美濃の木を使っておもちゃの制作・販売などの活動をされています。美濃木工工房FUKUBEの見学と併せて、小野さんが主催するグリーンウッドワーク協会の活動もお聞きしました。
美濃木工工房FUKUBEは2018年に廃校となった下牧小学校の2、3階の一部を改修して整備されたもので、2階には木のおもちゃを展示・販売するスペースや実際に木のおもちゃで遊べる多目的ホールが、3階には木工品の設計や試作品開発を行う木工作業室などが設けられています。
黄色枠が現在活用中の部屋、それ以外屋は構想中の部屋だけど、森から海とか、
山と空と宇宙とかみんなつながっているよね。面白いなぁ。
事務所の売店で売っている木のおもちゃ アカデミー卒業生の作品もある
木のおもちゃ。
2Fの多目的ホール。遊べる木のおもちゃがいっぱい。誰でも利用できます。
3Fの工作室。小型だが必要な機械が揃う。ここで木のおもちゃを作っている。
小野さんは在学中の2008年にNPO法人グリーンウッドワーク協会(以後GWWと呼ぶ)を設立し、2015年に古城山での森林を活用した自然体験活動が「ろうきん森の学校」に採用(助成金支給がある)され、2018年に木工工房FUKUBEやふくべの森の管理が加わり、活動の幅を広げています。アカデミーでの授業でもお世話になっているのでご存じの方も多いのではないでしょうか。GWWでは「モノづくりを中心とした森づくり」に加えて「子供を中心としたまちづくり」も実践され、遠足や森の幼稚園などで子供が森のしくみや生き物を知る場を地域の中に作る活動を進めています。
GWWの職員は小野さん一人だけなので、実際の活動ではアカデミー卒業生(会員45名の内、卒業生は14名)や先生方との協力でプログラムを作り上げています。プログラムを紹介すると、GWWや足踏みろくろでの器づくり・スプーン削りなどの木工、山菜や虫探し・マイタケやシイタケの原木栽培・実のなる木の植樹・ハンモック吊りなどの自然体験、子供たちに刃物の使い方を教える木育等です。GWWの範囲にとどまらず多彩で魅力的ですが、これも「人とつながる」ことでやれることを広げる、深めることを実践されている小野さんだからでしょう。その姿勢はとても勉強になり、また励みにもなりました。
今回は木工工房FUKUBEに限らず、GWWの運営や経営面のことも丁寧にお話しいただけました。終始、「人とのつながりが大事」とおっしゃる小野さんの人柄が感じられ、卒業後の進路を考える上で励まされました。ありがとうございました。
文責:岡田和美(クリエーター科 木工専攻2年)