高性能林業機械を運転する資格を取得しよう7(スイングヤーダ現場架設編)
いよいよ演習林の現場でスイングヤーダを架設する日がやって来ました。
この谷のおよそ180m先に先柱が作ってあり、原木を運ぶための搬器が行き来できるように架設します。
一般的な林業現場では、スイングヤーダによる集材距離は100m以内であることが多いですが、この実習では尾根まで皆伐し、次年度に植栽するため長距離の搬出を行っています。
スイングヤーダに備えたワイヤロープは重く、180m先の山に担いで登ることは無理なので仕掛けを作って、次の手順で架設します。
①あらかじめ軽量で丈夫なナイロン製のリードロープ(写真 青色のロープ)を先柱とスイングヤーダの間で往復させておきます。
②ホールバックラインのワイヤ(写真 黒色)を搬器に通し、リードロープの一端と連結し固定します。
③リードロープのもう一端をスイングヤーダに装備された巻き取り機(エンドレスドラム)に通し、リードロープを機械の力で引き寄せワイヤ(写真 黒色)を山へと送り出します。
④引き寄せたリードロープは木枠ドラムに巻き取ります。
以上の手順により、リードロープを引き寄せが完了すると、ワイヤロープの先端が先柱の滑車を通りスイングヤーダのところまで戻ってくるという訳です。(到着したロープとワイヤの連結箇所を見上げているところ)
ランニングスカイライン式に使用する専用搬器(赤色)へのワイヤの通し方やつなぎ留め方、荷掛け用フックのセットはこれまでの実習で習得しているので、世話をしなくても順調にできました。
ただし、専用搬器に10mm鋼芯ワイヤを通す部分は幅が狭いので、ワイヤを通すのに苦労します。
最初にppロープ(ポリプロピレン製)を通してワイヤに結んでおき、ワイヤを押し込みながらppロープも同時に引くと楽に通すことができます。
架設ができたら、先柱とスイングヤーダの向きが一直線上になるように重機の方向を調整します。
これを怠ると作業中にワイヤを巻き取るドラムに偏った巻き取りが発生し、ワイヤが乱巻きしたり、崩れたりして作業を中断し、ワイヤを出して巻き直すことになり、非常に手間がかかります。
最後に試運転を行い、正常に稼働することを確認し実習を終了しました。
一応、集材ができる準備は整いましたが、実際には遠く離れた場所からの指示で正確に運転できないと、原木を山から集材することはできません。
次回は無線機を使って荷かけ者の指示どおり、スイングヤーダを安全に操作することを覚えましょう!
林業専攻教員 池戸 秀隆