機械実習のスタートはオンラインから「木工機械使用法1(木取り)」
今年は教員作成のオンライン動画から木工機械実習はスタートしました。
この春は新型コロナウイルスの影響で、4月~5月の間は全く学内施設は使えませんでした。教員も登校できない学生に授業を提供するため、それぞれ担当する科目ごとにオンラインでの授業提供をスタートすることになりました。自身が担当する木工機械実習は専門的な機械の操作なため、工房での実習は欠かせません。一方で例年、学生たちも実習の場だけですべての情報をインプットして、機械の操作方法を習得するのも難しいと感じていました。そこで、今回は後日行う実習を補完するための「予習」と「振り返り」に使えるような解説ビデオを作成して学生にオンデマンド配信することにしました。
この実習のために作った動画はおまけの1本を含めて計9本。時間にすると2時間弱程度になります。専門用語と慣れない機械の仕組みや操作、ところどころに挟み込まれる木の性質や木工の工程に関する解説など、内容は濃いめです。工房での実習は昨日終わりましたが、今後もこの動画は見られるようにしておき、復習したいときに活用してほしいと思います。
6月に入ると、やっと学校が使えるようになり、工房を使った機械実習ができるようになりました。事前のビデオ学習があった甲斐あって、皆、実習の冒頭からスムーズに機械を扱えるようになりました―・・と言えるような、そこまでの効果があったかは定かではありませんが、ビデオ→実機の操作という段階を経ることで、機械の仕組みは皆すっと飲み込めたように思います。
今回、この授業の履修者は木工専攻の1年生、木造建築専攻の1年生、科目履修生の計10名。ひととおりの機械説明をしたところでグループに分かれて「木取り、木造り」という作業に取り組んでもらいました。機械のセッティングや加工のあれこれを、それぞれに意見を出し合い、時にアドバイスをしたりうまくいったところ、失敗したところを共有しながら機械操作の経験値を上げていきます。
この機械実習では、まずは安全を第1に機械の特性や注意点を学んでいきます。その上で、より精度を高める操作方法や、作業効率を上げる機械の使い方を1つずつ積み上げるよう心がけています。木工機械は便利である一方で、扱いを誤ると命に関わる事故を起こすリスクもあります。大抵の事故は複数の要因が重なったときに起こるものですが、まず大事なマインドとして「安全第一」ということを身に付けてもらいたいと思っています。
今年度から変わった点として、木造建築の1年生もこの実習を必修科目として履修することになりました。これは1年かけて取り組む「自力建設」の中で、例年、工房を利用してフローリングや建具を製作する機会が増えたことを受けてのことです。今回の実習では、実際のフローリングに使われる「本核加工(ほんざねかこう)」を体験してもらいました。
今年はイレギュラーな実習のスタートとなりましたが、ひとまず一通りの機械操作を体験することが無事にできました。今後も引き続き、色々なものを作りながらモノづくりのスキルを身に付けて行きましょう。
木工専攻 講師
前野 健