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2020年06月03日(水)

Cr2年「有用植物実習(山菜・薬草)」でタラノキ、こごみの生態と増殖について学ぶ。

コロナウイルスの関係でとられていた休校期間も終わり、アカデミーでも今週から授業が再開することになりました。再開後早々に実施したクリエーター科2年「有用植物実習(山菜・薬草)」について、簡単に紹介します。この実習は山菜類、薬草類、特用樹などの特用林産物について学ぶ内容になっています。
例年は山菜の見分け方、試食などから授業がスタートするのですが、今年は時期が遅くなってのスタートになってしまったため、その部分は動画配信での学びとなってしまいました(試食は残念ながらできず)。

今回の実習では山菜の生態と増殖方法について実施しました。

まずはタラノキについて。タラノキの芽は一般に「たらの芽」として流通しています。今回は「たらの芽」採取のための株を増やす方法について学びます。

タラノキの株を増やすのには、種根を植え付ける「挿し根」という方法が多くとられます。もともとタラノキは「根萌芽」と言って、親株の根から芽が出て新しい個体が周囲に出てくる性質があります。クローン繁殖の一形態なのですが、そのような性質を持つため切り分けた根からも容易に発芽します。

タラノキの根萌芽

過去の実習で掘り取ったタラノキの根。根萌芽で増えている様子がわかると思います。

まず構内のタラノキの生え方を観察します。大きなタラノキがあれば、大抵の場合、周囲に子株が生えているのが観察されます。まずはこれが根萌芽で増えたものかを確かめます。掘ってみるとやはりつながっていることがわかりました。今回はこの根を切り取って持ち帰り種根とします。

タラノキの根萌芽

やはり根でつながっています(写っていませんが、近くに大きな親株があります)

種根は直接圃場に植え付けることもできますが、管理の点からプランターに植え付けました。持ち帰った根を10cmに切り分けて植えます。あとは乾かないように水管理を行うこととなります。

タラノキ種根の植え付け

10cm程度に切り分けて植え付けます

また昨年度に同様の方法で育てたタラノキの株を構内の空いた土地に植栽しました。うまく大きくなって来年の実習の素材となってくれることを期待します。

種根から発芽したタラノキ

昨年度の種根から育ったタラノキ

 

さらに今回は「クサソテツ(山菜名はこごみ)」の植え付けも行いました。クサソテツはシダ植物なので胞子繁殖を行いますが、ランナー(匍匐枝)を伸ばしてクローン繁殖もします。タラノキの根萌芽とよく似ていますね。
構内に過去に植栽したクサソテツが増えている様子を観察した上で、ランナーを採取しました。

こごみのランナー掘り取り

ランナーでの繁殖を観察しながら掘り取ります。

掘り取ったランナー

掘り取ったランナー

こちらもタラノキ同様にプランターに植え付けました。クサソテツはワラビなどと違ってアクもほとんどなく、調理の手間も少ないため人気のある山菜です。うまく増えてくれるといいですね。

植物の増殖方法は数多くあり、山菜類にもそれらの技術が活用されています。技術的に確立しているものはありますが、やはり対象とする植物を観察し、その性質、生態を理解した上で応用していくことが重要だと考えます。今回の実習ではそれらも含め学生に学んでもらうことができたと思います。
次回の実習では薬草栽培の現場を見学させてもらいます。こちらは実際に栽培に関わっておられる方のお話を伺うことを予定しています。(教員 津田)