木質構造の「キモ」接合部(morinos建築秘話38)
木造建築の構造の「キモ」のひとつである接合部についてお話しします。
このような非住宅の木造建築であっても、接合部は住宅で用いられる一般的な接合方法で十分なように設計することができます。
一般部分の接合部には、市販の補強金物を使用しています。
それほど引張力が大きくない接合部には一般的な座金-ボルト接合なども使用しています。
また、一般的な構造用ビス(パネリードX)を併用している場合もあります。
接合部に生じる引張力に応じて、ホールダウン金物などを使用しています。
しかし、構造架構においては、一般的に使用される接合金物では、設置できない場合や許容耐力が不足する場合などがあります。
そこで、製作金物が必要になります。その箇所に生じる力を十分に見極めて、その力による木材の破壊モードを十分に考慮した上で、製作金物を設計する必要があります。
この時に重要なことは、製作金物の許容耐力をどのように評価するかということになります。
製作金物の許容耐力を計算によって算出することも可能ですが、木造の接合部を計算によって評価することは、なかなか難しいです。
そこで、製作金物を設置した木造の接合部の実物大を実際につくり、試験を行って製作金物を設置した接合部の許容耐力を求めることを木造ではよく行います。
W形配置丸太やレ形配置方杖等の構造架構の各部材を接合する接合部は、2003年(平成15年)に指定性能評価機関建材試験センターにて技術評定を取得しています。
教授 小原 勝彦