「こうすればできる木のスプーン」の展示を行いました!
5月からスタートした、木工専攻授業「展示会の企画と運営」が10月末をもってようやく終了しました(因みに昨年度は会場の都合で3月末でした・・・)。
「展示会」つまり、モノを空間を通して「伝える」作業は、木でつくる技術とは違うスキルが求められます。それは、日々の生活のなかで養う感覚でもあります。以下2つの視点を日常生活の中で持ってもらうため、長期間かけて気づきのための時間構成としてあります。
① ケアという視点
② モノを通して伝える視点
以下、学生の長期にわたった振り返りです。
授業「展示会の企画と運営」担当:松井勅尚
ケア(空間、モノ、ヒト)
入学して間もない頃に「ケア」の講義を受けました。そこでは部屋の机やいすの配置を考えて空間を心地よくする。葉っぱやドングリ、クリップやキャップなどを机上に並べて美しくする、MOTTAINAI工房プログラムを体験しました。初めは面食らったが、一つ一つを丁寧に意識することで、心地よい空間が生まれたり、作品ができるのは新鮮で面白かった。授業のテーマである、以下に触れてこれからどう過ごすのかに考えるきっかけとなりました。
① モノや空間が美しくあるようケアすること
② モノ、コト、ヒトを地球の一部として大切にすること
③ 身の丈を意識すること
④ どこから来て、どこへ行くのか
人を伝えるWS
講義の一環で身近な人を紹介し、その人柄を伝える実習があり、私の身近な人として妻を伝えることにしました。思い入れのあるモノとその理由を展示して紹介するのですが、モノを通して伝えることで、その人への理解がまた進んだように思います。
展示会の実例見学
①木工家ウィーク2019
6月初めに名古屋で開催された木工家ウィークの木の家具40人展を見学してきました。作品の展示方法や展示空間には作家ごとにかなりの差があり、折脚テーブルを布で覆って展示台にしたり、自身の作品を展示台とするなどの工夫もあれば、単に床に置くだけや、段ボール箱が見えるところに置いてあったりするなど様々です。作品の良さを引き出すためには、展示ブースの空間をケアすることが大切だなと感じました。
②飛騨の家具フェスティバル2019
9月には飛騨の家具展の企業展示を見学してきました。こちらは企業ですので、リビングやダイニングにいるよう、ファブリックや食器、植栽や照明などが配置され演出に手が入っています。なかでもキタニの展示は大変興味深くて、出品物である北欧の皮張りチェアーが、赤いカーペット、日本画の衝立、イーゼルにかけた観音様の写真等となす対比が素晴らしく、思わず使ってみたくなりました。
展示実演(木製スプーンの制作過程展示)
10月の終わりに、百年公園のレストハウスで展示会の実演として夏休み中に作りためた木のスプーンをもとに、「こうすればできる木のスプーン(の作り方)」の展示を行いました。
とはいえ、作成スプーンは5本だけ、作成段階見本や作業に必要な手工具などを足してもスペースの1/3しか埋まりません。
与えられたスペースを展示会場としてきちんとケアするためには新たな展示物が必要ですが、身の丈に合った展示とするため、作成例として様々なスプーンを並べて形や大きさの参考にしてもらうこととし、どんな木で作れば良いかのヒントとして道具や木製品での木の使われ方の展示を行いました。
当日はあいにくの雨でしたがレストハウス内なのが幸いして、昼食や休憩に訪れた人が展示を見てくれ、木の使われ方や、木からプーンを作ることに興味を持っていただけました。
来場者に対して、展示物の丁寧な説明ができ、作り方の説明もできましたので、自分の身の丈に合った展示会ができたと思っています。
クリエーター科木工専攻1年 岡田和美