ドイツ・サマーセミナー2019報告 その5
9/19(サマーセミナー5日目)
クリエイター科の大西洋聡が研修5日目を報告させていただきます
ハウスデスバルデス(Haus des Waldes)
5日目はStuttgart郊外の森の中にある、Haus des Waldesへ
この施設は今年30周年を迎えた場所で、多くの森林教育者が来る場所でもあります。
ここでは森林教育のセミナーを年に70~80回ほど行っており、季節ごとで変動はあるようですが300~400ほどの遠足グループが毎年来るそうです。
ハウスデスバルデスには大きなテーマが一つあり、「万人のための森林教育」というものだそうです。そして、ここで重要視されているものは教育省と連携して行なっている学校の教育に【森林】を組み込んで興味を持ってもらうことということ。
今回私たちが案内されたのは、この施設内にある一つの散策コースでした。ここでは全部で5つのステーションがあり、その場所場所で森に関する様々なテーマがありました。例えば、森林を感覚重視で体験するところがあったのですが、普通の人でも目を閉じて、赤いロープを掴んで歩き、見るだけではなく触り聞くことで森を楽しむというものもありました。これは視覚に障害を持つ人もそうですが、他の身体障害の方たちにもやさしい森のつくりになっているので、多くの人達が楽しんで行えるものとなっているそうです。
またコースの途中にある横倒しになっている木があるのですが、これは弱視の人にすべてを触って感じてもらうために横倒しにしたそうです。というのも、弱視の方は木の林冠がはっきり見えないという方が多いということだったそうで、倒れた木を用意したところとても人気があったとのことです。
Haus des Waldesには子供達が遊べる場所があり、その遊びの対象には森林に関する文章が書かれているものがあります。子供たちに遊んでもらいながら学習してもらおうとしていたようですが、子供向けにやさしく書かれたそのメッセージ。実は子どもだけではなく、同伴している大人に対してのメッセージでもあるようです。それによって多くの人達に自然意識を高めてもらうのが狙いのようです。Haus des Waldesは伝え方に様々な工夫を凝らされた施設でした。
シュトゥットガルト私有林
そして午後、私達はのStuttgart の市有林へと向かいました。ここでは営林署の署長のシューマイヤーさんが私たちのガイドとして多くのことを説明してくれました。
Stuttgartには5,000haの林があり、その内の2,700haが市有林がそうです。そして構成している樹種は32%がナラ、24%がブナ、そして9%がトネリコだそうです。
Stuttgartというのは大きな街であり、その周辺にもたくさんの森があります。しかし、近年ドイツでは空気の極度な乾燥により、キクイムシによる被害が多く見られるようになっているそうです。その影響なのか、道路の近くにある樹木も枯死しているものがあり、交通の安全性を保つために道路から30M は木が倒れないようにいつも注意しているそうです。少なくとも病気にかかっている樹木を見つけたら、すぐに伐採をし、他にも道の近くやベンチ周辺のものも、すぐに処理するそうです。
そして市有林を歩いていたその先には、Birkenkopfという日本語で言えば白樺の丘という場所がありました。ここは第二次世界大戦で発生した瓦礫を積んでできた丘であり、ここでは今だに年に10~20の不発弾が見つかることがあるそうです。そして木に不発の焼夷弾が引っかかっているのが見つかる時もあるそうです。いまだにそのようなものが見つかることに対して衝撃を受けました。その後、私たちはこのBirkenkopfに登り、頂上付近には瓦礫であろうものが多く点在していました。ここでは、どのように物が破壊されたのか、どのような思いでここに積んだのかなど考えさせられました。そしてこの丘から見えるStuttgartの景色は快晴だったこともあり、とても美しく見られました。
以上が5日目の報告でした
報告:クリエーター科1年 大西 洋聡
※現地に行った学生の報告会を11月12日(火)に行います
時間:18:00~19:30
場所:森林文化アカデミー メディアラボ1F 多目的室にて