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2019年11月09日(土)

ドイツ・サマーセミナー2019報告 その4

9/18(サマーセミナー4日目)

研修4日目はバーデン=ヴュルテンベルク州のシェーンブーフ自然公園(naturpark schönbuch)とロッテンブルク大学演習林での野生動物管理に関する内容でした。

 

野生動物管理について

午前中は自然公園の見学

案内人はロッテンブルク大学のエントさんと同大学の学生さんでした。

公園内で説明をしてくれるロッテンブルク大学のエントさん

ここは昨年のセミナーでもコースとなっていた公園で広さは1万5千haもあり、ドイツ国内でも大きな森で、3分の2は州林、3分の1は市町村林となっています。こちらではニホンジカよりも体の大きいアカシカという鹿を柵で囲い、管理していました。体が大きい分、被害

も大きいということでドイツでも鹿による森林への被害が問題となっているとのことです。

柵内のアカシカ

ドイツでも鹿の捕獲は行われますが、柵で囲い餌を与えて被害を抑える取り組みもされているようです。そもそも鹿が増えたのはハンターが足りないからだということで、ハンターが減少したというのではなく、そもそも数が少ないからという説明を受けました。また、日本と異なるのはドイツでは罠猟は行われないということで、説明を聞いたところ、それは罠にかかっている間、動物が苦しむから禁止となったのではないかと思われます。そのため猟は銃を使用するということで、制度や文化、猟に対する考え方の違いも知ることができました。

園内各所に野生動物やアカシカに関する説明板があります

こちらの公園には年間200万人ほどが動物園感覚で森や動物を見に訪れるということでドイツの人の自然への関心の高さが伺えました。

園内にある各動物の跳躍力を表した走り幅跳びの砂場。アカシカは9mも飛べると書かれています。

大学への移動の前に丘の上でお昼休憩を取りました。林冠ウォークの施設にもあった木造建築のタワー(アイスクリームのコーンの形)がありました。

タワーからの景色

 

ロッテンブルグ大学

午後からはロッテンブルク大学の演習林を見学しています。毎年研修ではこちらの大学を訪れていますが、今年は構内での講義は無く、野生動物管理の研修としてすぐに演習林内を見てきています。案内はエントさんとハイン教授。

ロッテンブルク大学。州内では規模は小さい方ですが研究は活発。入学倍率は5倍!

林内の15年ほど成長しているはずのナラ林ではアカシカより体の小さいノロジカによる食害でナラがほとんどなくなっていました。なぜノロジカが原因だと分かるのかというと食べ痕から分かるとのことです。決まった樹種を大きく成長させたいなら最初の5年間はしっかり猟を行う必要があると語られていました。

同大学では銃猟の実習があり毎年100ha辺りで25~30頭ぐらいの鹿を狩ると説明を受けました。秋は見張り台から、冬は犬を使っての猟を行うとのことです。獲った後は学内で解体もします。鹿肉は安いため生計にはならないようですが、その分、密猟は起きないと話されていました。

ロッテンブルク大学演習林内での説明の様子

林内のナラの実生

以上が研修4日目の報告となります。ドイツでも日本のように森林への獣害が問題となっていて、様々なマネジメントが行われていることを知りました。柵で囲って管理をするだけでなく、公園にして一般の人にシカについて知ってもらう取り組みからはドイツの環境教育への熱心さが伝わってきました。

報告:クリエーター科1年 伊藤 顕

 

※現地に行った学生の報告会を11月12日(火)に行います

時間:18:00~19:30

場所:森林文化アカデミー メディアラボ1F 多目的室にて