足元の寒さは足元から!!(改修版 自立循環型住宅の設計ガイドライン)
専門技術者研修「自立循環型住宅への設計講習」の後半戦。改修版のガイドラインに突入しました。こちらも480ページの大ボリュームです。
今日は、全体を概観して、改修における重要ポイントを確認していきます。
新築との違いは大きく2点。
1.すでに建物が建っていて、住まい手が住んでいて、この調査から始まること。
2.アンバランスな状況になることも考えられるため、よりそれぞれの性能が何を意味するか理解を深めること。
新築を計画するより、改修を計画するほうが圧倒的に難しいです。
今日はこの2点を特に強調しつつ、ひたすらガイドラインをめくって説明していきました。
まずは、現状の把握から。ヒアリングシートや調査シートを用いて丁寧に読み解いていきます。特に、暮らし方を把握するために、光熱費データから何にエネルギーを使用しているか分析します。
そもそも暖房をあまり使用していない世帯に、暖房エネルギーや暖房費が減りますといっても、まったく関係ありません。それより、明け方の室温がこの程度向上しますとか、冬の結露がなくなります。あるいは足元の温度がここまで暖かくなりますといった、環境改善効果が重要です。
次に、アンバランスな状況における適切な改修です。新築では、トリプルガラスを使用していながら床が無断熱の家なんて、まずありえません。全体にバランスよく設計しているはずです。ですが、改修では、二重窓に交換しておきながら、床はめくれずにそのままといった状況が考えられます。建物の全体性能が高まっても、足元の寒さは解消されないこともあります。
つまり、改善要望に対してどこを重点的に改修すべきか理解して、その設計ができる必要があります。
足元が寒いときは、床の断熱、隙間風の防止、開口部の断熱(コールドドラフト防止)が効果的です。当然天井に断熱しても効果薄です。
次回からは、具体的な計算を行い、改修版のポイントをより実践的に展開します。
准教授 辻充孝