ドイツ・サマーセミナー2018報告9
9月24日(月)は、シュトゥットガルト近郊のヴァイブリンゲンを訪問し、チェーンソーメーカー「STHIL」の本社を見学しました。
はじめにSTHIL社創業の歴史や、販売業績などについてプレゼンで紹介をいただきました。チェーンソーメーカーSTHIL社は、1926年にシュトゥットガルトにて創業を開始。現在では従業員の数は15,875名で、世界に37の販売子会社と、120の輸入業者、45,000を超えるSTHIL取り扱い販売店を構えており、160ヶ国以上で販売を行なっているとのことでした。
次に各部品の製造工場を見学。工場では約60名が20名ずつの3交代制シフトで働いており、生産ラインは休日も止めずに動かしているとのこと。また、品質保持と情報漏えい防止のために、チェーンソーのガイドバーやハンドルなど60~70%は外注せず自社での生産を行なっているとのことでした。機密情報のため工場内の写真はお見せできませんが、センサーで動くフォークリフトのような無人の機械が荷物運びを行なっており、組み立ても機械を使って行なわれていました。効率よい流れ作業で、チェーンソーのパーツが組み立てられ、1台1台が完成していく様子を見ることができました。生産ラインは思ったよりも作業員の数は多く、各段階での機械で組み立ての後に人の目による製品チェックが徹底されている印象を受けました。
午後は工場近くの博物館へ移動し、木の伐採が人力から機械のチェーンソーへと変わっていった時代の変遷を学びました。
ガソリンチェーンソーが開発されたのは1920年代のことで、当時は質量50kgとかなりの重さで、木の伐採にも2人がかりでチェーンソーを扱っていたようです。
ちなみに少しマニアックですが、このチェーンソーは燃料噴射を電子制御でおこなう「フューエルインジェクション(Fuel Injection)」を搭載した試作機とのこと。“キャブレター式”だと気圧や気温などの影響で、冬場はエンジンの始動性が悪くなったり、雨や高所でエンジンの調子が悪くなったり… ということも時々あるようですが、この「インジェクション式」はコンピューターによって燃料噴射を制御しており、環境に左右されることなく安定して燃料を送り出すことが可能だそうです。メンテナンスも基本フリーのため、性能面ではかなり優れています。カーボン仕様はさすがに非買品!!とのことでしたが、このコンピューター制御タイプのチェーンソーは、どうやら来年からSTHILさんから販売開始される見通しとのことでした。
エンジニア科や林業コースの学生にとっては身近な存在でもあるチェーンソー。
この日はアカデミー学生3名とも、特に楽しい学びができた一日でした。
エンジニア科2年:小野寺