ドイツ・サマーセミナー2018報告7
サマーセミナー5日目。Bグループは、バーデン=ヴュルテンベルク州(BW州)の森林環境教育施設であるWaldschulheim Burg HornbergとBarfuss Park(裸足公園)を見学しました。
午前中は、Waldschulheim Burg Hornbergを見学しました。ここは州の森林局が管轄している林間学校のような寄宿型の教育施設です。8〜12歳向けの3日間or5日間のコースと、12〜16歳向けの5日間or12日間のコースが用意されており、施設に宿泊しながら森林ガイドツアーや伐倒作業、パン作りやベンチ作りなど様々な体験をすることができます。林業の広報のためではなく、生徒たちに森林や林業に関する科学的な知識と情報を中立の立場で提供することを目的としており、ガイドツアー等を行うだけでなく、生徒に林業作業の課題を出し、給料を払って課題を達成してもらうという取組が行われているそうです。
見学した日は、13〜14歳くらいの生徒40人が、森で針葉樹育成のために支障となる広葉樹の除伐作業を行っていました。作業に入る前までに、この除伐作業の目的や効果、また伐倒のやり方や森林生態系についてのレクチャーを受けており、2週間の研修の最終段階としてこの日の作業が行われているそうです。3人くらいで1組となり、それぞれ手鋸などを使って広葉樹を伐倒していました。
胸高直径20cmくらいの木で、自分の力で押せるサイズの木であれば、手鋸を使い人力で伐倒させているそうです。ヘルメットを被らずに作業を行っていることについて質問をすると、6人の先生で作業の安全等をみていて、ヘルメット無しで作業しても45年間大きな事故は起きていないとのこと。何が危険で、どうすれば安全に作業できるのかを考えるのも学習の一つだという話がありました。
その後、少し移動して研修と宿泊を行う施設を見学しました。立派な塔が印象的な建物で、以前はお城であったとのこと。施設内には、作業で使ったジャケット・靴を乾かすための乾燥室や、木工品やクギをつくるための木工室、施設全体の暖房等を行なっているバイオマスボイラー室、食堂、宿泊用の部屋などがありました。さらには休み時間等にリフレッシュするためのバスケットコートやボルダリング用の壁、卓球台、塔の最上階にはミラーボール付きのパーティルームまでありました。滞在中は、スマートフォンや携帯電話等の使用ができず、各自の家との連絡は学校にある1台の電話機を通してしか行えないとのこと。シュバルツバルトの森に囲まれたお城の中で、少しいつもとは違う環境で自然や仲間と向き合う時間が作れるようになっているのだと思いました。
午後は、Barfuss Park(裸足公園)を見学しました。名前そのまま、靴を脱いで裸足で森林公園内を歩く施設です。こうした施設はドイツにいくつかあり、この日訪れた場所は、ドイツでは1番古くからある裸足公園だそうです。
駐車場料金は必要ですが、入場料等はかからず、無料で利用できます。コースが全長2.4kmあり、様々な道(土、水、石畳、泥道、チップ、コルク、モミの球果、ガラス砕片などが敷かれた道など)と、様々なアクティビティ(砂地のビーチバレーコート、ロープのジャングルジム、芝生の広場,トランポリンゾーン、とても冷たい水の池、藁の敷詰められた家など)が設置されています。平日にも関わらず、親子連れや、中高年の方々のグループなど様々な人が歩いていました。
裸足で野外を歩くのは、小学校の運動会以来?の久し振りの体験でしたので、最初は痛さもあって抵抗がありましたが、慣れてくると楽しく、足の裏に伝わるありとあらゆる感触を楽しみながら歩くことができました(後半はさすがに痛さの方がまさっていましたが…)。サマーセミナーに参加していた他の学生も、研修の中で1番はしゃいでいるのではないかというくらい楽しんでいて、裸足になることの効果は素晴らしい!と感じました。
また、コースの途中で、目隠しをしてまっすぐ歩いてみるゲーム、水の浸透度を芝生の上と道の上で比べてみるという実験、鏡を使って普段とは違う眺めで歩いてみることなど、様々な取り組みも行いました。森の中で自分自身の様々な感覚を確認しながら、自然をいつも以上に肌で感じ、自然について学ぶという体験をすることができました。
靴を履いていては感じることのできない開放感のような感覚と、靴の存在のありがたさを思う存分味わえる公園でした。
クリエーター科1年 林業専攻:森泉 周平