森林の状況を把握する術を学ぶ〜森林調査法1 人工林の調査編〜
クリエーター科の林業専攻では、森林の現況を正確に把握する技術を身につけるための実習も行なっています。
森林の利活用を様々な局面で考える際には、その森林の状況を正確に判断することが必要になってきます。熟練した人だと目測である程度把握することができるようになってきますが、誰でもできるわけではありません。まずは道具を使った基本的な調査のやり方を身につけ、データを解析するなどの経験を積むことが重要です。
先週2日間かけて、基本的な針葉樹人工林の調査方法を学びました。
最初に座学で調査の目的を確認し、次に基本的な調査方法について横井先生から説明。調査区の取り方、樹高や直径を測るための測定器具の使い方、調査に当たっての注意点などを座学で学びます。測定器具については教室の外で使い方を簡単にマスターした上で、演習林に移動して、実際に調査に入りました。
演習林のスギの人工林で調査区をとり、面積を求めるためにポケットコンパスで測量しました。測量の実習はすでに行われていたので、その復習も兼ねての実習となりました。調査枠を取った後は胸高直径を輪尺、樹高はバーテックスで測定していきました。
テキパキと調査は進み、時間が少しできたので、プロットレスサンプリング(調査枠を張らずにデータをとる方法)の一つであるビッターリッヒ法の簡易なやり方でもデータを取ります。そんなこんなで無事1日目は終了。
2日目。1日目に取ったデータを集計し解析方法を学びます。各自パソコンを使って順を追って計算していきました。データから樹高曲線、本数密度、林分材積、相対幹距比、直径階分布などを数値やグラフで表していき森林の現況を把握します。ビッターリッヒ法で取ったデータを解析して材積を計算すると、調査枠を使って取った値と極端な違いはなく、簡易的には使えないこともないなと実感しました。
細り表と市場での取引価格などを使って、今回調査した林分の木をどのように造材すれば高く売れるかなども試算してみました。丸太の長さと価格をパズルのように組み合わせて考えるのですが、結構頭を使います。皆、良い頭の体操になったようです
今週からは里山の広葉樹林の調査を行う予定です。そこでは植生調査の方法を学ぶとともに、アカデミー周辺の里山林の構成樹種や階層構造を理解することも目的としています。また終わればここで報告します。(教員 津田格)