ACフォレスト、森での小径木現地販売
11/6(月)の早朝、実習に使う広葉樹の板を買いに、学生2人と高山市の製材業者さんへ。購入を終えて何気なくFacebookを見ていると、ACフォレストの澤田良二さんから「今年度の広葉樹のもりづくり活動(伐採)で出た林地残材の『現地即売会』を企画しました」とのイベント案内。しかも11/6(月)その日から。何〜、それは行ってみよう!ということで、急きょ寄り道して現場を訪ねてきました。
情報をくれたのはこの人、森林文化アカデミーOBの澤田良二さんです。今年春に森林組合を退職し「ACフォレスト」として独立しました。屋号の由来を尋ねると、「アカデミーOBにはWOOD AC(建築)、AC CRAFT(木工)はあるけど、林業がない。だからACフォレストに」とのことでした。他にもいろんな意味が込められているそうです。
澤田さんやアカデミーの卒業生たちは、もう10年以上前から「ものづくりで森づくりネットワーク」というグループで、郡上市白鳥六ノ里の広葉樹林を手入れしています。
今回販売するのは、森づくりのために伐採した木のうち、製材ができず、森の中に「原木の端材」として捨てられる部材です。小径木(直径20cm未満)や、曲がりのきつい材、根本の大径部の端材など、製材に向かない原木のことです。(ちなみにこの森から出た大きな材は、今年、東京の私立学校の学習机になりました。詳しくは上記のものづくりで森づくりネットワークのリンクをご覧ください)
ウワミズザクラ、アオハダ、クマシデ、チョウセンミネバリなど、普通の市場ではあまり見かけない種類の丸太が、一つ一つ丁寧にナンバリングされ、運びやすいサイズに切って並べられていました。
これだけの手間をかけても、それに見合う価格をつけられるわけではありません。チップ用材(製紙原料)として取引される価格も参考にしながら、値段を決めたとのこと。人件費はまったく出ない価格になりますが、それでもこれらの材を何とかしたいので、試みとしてやってみたかったと澤田さん。
ちょうど同行していた学生が、地域の森から出る未利用材を木工に有効利用するための研究を行っていて、丸太が転がっていれば飛びつく2人でした。目を輝かせて、さっそくお買上げ!
面白かったのは森の中での明朗現金会計。1本ずつサイズも細かく計測されていて、金額を算出してくれます。後で振り込みでもいいですよと言ってもらいましたが、現金で支払いを済ませました。6本購入して、占めて5600円也。こんな丸太の取引が行われるなんて、なかなか無いんじゃないでしょうか。
いま、このような身近な森から出る木を暮らしに活かそうよ、という活動が大きなムーブメントになりつつあると感じています。
かつて私たちは、里山の木を伐って、暖を取ったり、煮炊きをしたり、暮らしの道具を作ったり、少量をローカルに使ってきました。それが戦後のある時期から、大規模に伐採し、大量に生産し、消費する時代に変わりました。やがて森の大きな木を伐り尽くしてしまうと、海外から輸入して補うようになりました。今、その段階がまだ続いています。
身近な森の木をローカルに使うには、そのための流通の仕組みを現代に合う形に新しく作り直さなければなりません。今回の澤田さんの試みは、それを先取りするような感じがします。
「林地残材もったいないプロジェクト」は11月11〜12日にも実施するようです。詳しくは上記「ものづくりで森づくりネットワーク」へお問合せください。