オープンカレッジ「虫の家をつくろう!」第3回目実施しました
10/21(土)にオープンカレッジ連続講座「虫の家をつくろう!」の第3回目講座を開催しました。最終回の今回は初回講座で作った竹筒の観察と家庭用「虫の家」づくりです。
まずは参加者みんなで竹筒を設置した小屋にいき、現在の様子を観察したのち、竹筒を取り外します。設置した竹筒にはドロで蓋がされているものや枯れ草やコケが詰められているものなどがありました。さて中には何がいるのでしょうか?
竹筒にすこし切れ込みを入れ、少しずつそっと割ってみると、ドロやセロファン膜のようなものなどで仕切られた小部屋が出てきました。
ある筒にはクモが生きたまま詰まっていました。これは狩りバチの仲間が幼虫の餌にするために、捕まえてきて入れたものです。狩りバチは獲物となるクモや昆虫を捕えると針で毒を注入して麻酔をかけます。筒の中から出てきたクモもほとんど動きませんが、触るとピクっと足を動かすので生きている状態であることがわかりました。これらのクモは生きたままハチの幼虫の餌となります。
クモをよく見ると、卵が産み付けられていました。
クモの種類は一種類ではなく(ハエトリグモの一種と緑色のワカバグモを確認)、さらにそれ以外にも小型のキリギリス類や体長数mmの小さなチャタテムシという昆虫が詰め込まれたものもありました。獲物の多様性から様々な種類の狩りバチが利用していることがわかります。
他にもそれらの狩りバチに寄生する寄生バチが出てきたり、竹を食べているキクイムシなどが出てきたりと自分たちで仕掛けた竹筒のなかで起こっていた様々なことに、驚きの声が上がっていました。
午前中の観察後、昼食時に昨年同様スペシャルな食材を準備しました。
まずヘボ(クロスズメバチ)。定番のヘボご飯にしました。虫を食べるのはちょっと、と思っていた方もおられたようですが、一口食べると美味しい美味しいとパクパク。子供さんも積極的に食べていました。
さらにデザートとしてパンにのせたニホンミツバチの蜂蜜も試食。こちらも大人気であっという間にパンがなくなってしまいました。
午後は持ち帰り用の「虫の家」づくりをしました。海外ではInsekten Hotel(ドイツ語)、Insect house、Bug house等と呼ばれているものです。玄関先に置いても違和感のない可愛らしい見た目のものを作成しました(アカデミー卒業生にキット化してもらいました)。屋根付きの箱をまずは組み立てて、中に古い葦簾(よしず)を切ったものや竹筒、松ぼっくりなどを詰めて色々な虫たちが棲めるようにします。さらに箱の壁にドリルで穴をあけたり、可愛らしい絵を描いてみたり、屋根にさらに葦簾を取り付けたりと個性にあふれていました。
色々な虫が入ってくれるといいですね。夏休みの自由研究にしようかな、という声もあがっていました。
今の私たちの暮らしはすっかり自然から離れてしまいました。人間とペット以外の生き物は、家の中から徹底的に排除される傾向にあります。でも一方で、野生の生き物がそれぞれの生き様を見せてくれることには何となくロマンを感じないでしょうか?
ほんの一昔前までは家やその周辺に自然素材のものが沢山あり、そこに棲みつく生き物がいました。そのような生き物を見る機会は減ってしまいましたが、少し視点を変えてみたり、工夫を凝らしたりすれば、まだまだ多くの生き物が身近にいることに気づくはずです。それらの生き物を通して、私たちの暮らしと森林や田んぼなど周りの自然環境の関係について振り返ってもらえたら、うれしく思います。(津田 格)