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2025年04月14日(月)

【子どものナイフワーク】卒業生達と札幌で講師をしてきました

木工専攻教員の前野です。3月15日、16日に札幌市で開催された、子どものナイフワークプログラムの指導者向け講習会に卒業生達と一緒に講師としてお招き頂きました。その時のレポートを紹介させて頂きます。

一緒に講師として参加したアカデミーの卒業生

一緒に講師として参加したアカデミーの卒業生たち

講座を主催されたのは北海道でグリーンウッドワークや子どもを対象にしたナイフワークの活動をされている「こどもとおとなのグリーンウッドワークSapporo」さんです。講師としての参加でしたが、学ぶことも多く、自分達の活動をふり返るとても良い機会となりました。
(子どもとおとなのグリーンウッドワークSappor(gww.sapporo)さんの活動はこちらのInstagramをご覧ください)

参加のきっかけ

子どもとおとなのグリーンウッドワークSapporo

木の枝を持ったエゾリスがマークになっています。

今回の講習会を企画された「こどもとおとなのグリーンウッドワークSapporo」は、2023年にグリーンウッドワーク指導者養成講座に参加された三好さんが、翌年に地元の方と一緒に立ち上げられたグループです。

先だってアカデミーで開催した講習会で「北海道でも子どものナイフワーク講習会をやりたいので、札幌にも来て下さい」と、お声がけを頂いたのが1年前のこと。このたびそのお話が実現して、学校が春休みになるこのタイミングに北海道まで行ってきました。

今回はいつも一緒にナイフ教室で講師を務めている、木工専攻18期生の丹羽さん。そして、今は仙台で保育士をしながら「森のてしごとや みのむし」として活動をされている20期生の松川さん。そして自分と、3人がゲスト講師として講習会に参加してきました。

子どものためのナイフワーク指導者講習会 in Sapporo

講座当日、本州だったらたどり着けないほど雪が降っていました

講座当日は本州だったら参加者が会場にたどり着けないなっていうほどの雪でした

今回の講習会は2日間にわたって開催されました。

参加者は募集定員いっぱいの30名。自然体験教室や野外アクティビティなどの活動をされている方が多く、北海道で認定されている木育マイスターの方や児童館職員の方など、森や木、子ども達に関わる活動をされている方も参加して下さいました。

冒頭の三好さんのごあいさつ

講座冒頭の三好さんのごあいさつ。なぜいま、子どものナイフワークなのか

1日目

1日目は簡単な自己紹介を挟んで、松川さん、丹羽さん、北海道で活動をされている原さんが、それぞれの子どものナイフワーク活動の事例紹介を行いました。一口に子どものナイフワークといっても、活動の趣旨はそれぞれに異なりますし、環境作りや技術・製作アイテムなども、それぞれに個性があります。

原さんの環境教育とナイフワークのお話しは興味深かったです。

原さんは環境教育とナイフワークという切り口で活動を紹介していました

事例紹介の質疑応答が終わったところで、参加者の皆さんにも実際にナイフで木の枝を削ってもらいました。ここでは、松川さんが普段、子ども達にどのようなお手本を見せてナイフの使い方を説明しているかデモンストレーションを行いました。キーワードは「正しい動作」と「ゆっくりとした動き」。講師の言葉や1つ1つの動きから学び取ろうと、皆さんとても真剣にナイフを使う手元に注目していました。

こっぺさんのデモンストレーション

松川さんの説明の仕方のデモンストレーション

ナイフワークの体験

実際に枝木(ナナカマド)を削ってみるナイフワークの体験

この日は事前に三好さんに採ってきて頂いたナナカマドの枝を参加者に削ってもらいました。特に初めて伐りたての木を削った方の中には、心地よい削りごこちとナイフワーク特有の没入感にはまってしまった人もいたようです。

その後は3つのグループに分かれて事例紹介やワークの中で感じた感想や質問をシェアしながら、講師がそれに応えていく時間を取って1日目が終了しました。

2日目

2日目は朝活という名の勉強会からスタートしました。

三好さんによる刃物の研ぎと今回の講座で広報を担当されていた桝井さんによる作品の写真撮影について学ぶ2つのワークがあり、こちらは自由参加のプログラムでしたが、多くの方が参加されていました。

研ぎを体験する朝活動

研ぎを体験する朝活動

この日の午前中は、あらかじめ一般の参加者を募集して、子どものナイフワークショップを行い、講座参加者がそれを見学するという、実際のプログラムを見て学ぶというワークを行いました。

子ども達のナイフワークの様子を見てもらいました

子ども達のナイフワークの様子を見てもらいました

この講座の進め方は、2023年に岐阜の講習会でも行ったやり方です。子ども達の実際の反応や動きを間近に見ることができるため、これから子どものナイフワークに取り組む参加者からは、とても好評なプログラムです。講師サイドからすると、2つのプログラム(子ども達へのレクチャーと講習会参加者へのフォロー)を並行してまわすので、なかなかのハードワークになりますが、今回も良い学びの場を作れたのではないかと思います。

子ども達の体験が終わった後は、質疑応答タイム

子ども達の体験が終わった後は「なぜあの時はこうしたんですか?」と質疑応答タイム

午後は子どものナイフワークアイテムを実際に作ってみるワークを行いました。作るアイテムは、松川さんが「きのこと魚」。丹羽さんは「ナイフ1本で作るスプーンとフォーク」。私は「むし作り」を担当し、3つのグループに分かれてワークを行いました。

むし作りでは、子どもへの指導やフォローの仕方を伝えながら進めました

子どもへの指導やフォローの仕方を伝えながらアイテム作りを進めました

それぞれ個性的な作品ができあがる虫プログラム

それぞれ個性的な作品ができあがる虫プログラム

1番人気だったナイフ1本で作るスプーンとフォークも無事完成

1番人気だったナイフ1本で作るスプーンとフォークも無事完成して、感想のシェアの時間

この日の会場は講師の3人それぞれに別の場所になっていたため、松川さんのきのこと魚の写真は撮れていないのですが、そちらもとても良い内容だったと参加者の方からお聞きしました。

最後、全員が集まり、それぞれに今回の講座で得た学びをふり返る時間を取りました。そこでは、ナイフワークや指導のテクニックだけでは無く、さらに奥深い考察をされる参加者の声が多く聞かれたのが印象的でした。講座の中での子どもの行動に対して、なぜそのような対応を講師はしていたのか?その結果、子ども達はどのような反応をしたのか?自分だったらどうしていただろう?皆さん、それぞれの経験や活動されている環境に置き換えながら、多様な気付きと学びをシェアして頂きました。

近い席の人達と、2日間の学びをシェアする時間

近い席の人達と、2日間の学びをシェアする時間

三好さんからのまとめ

三好さんからのまとめと、これからの活動・展開についてのご提案

今回、講習会を通じて、それぞれの気付きや学びを共有する時間をたくさんとって頂きました。皆さん学んだことはとても多く、また、多様な視点を得た充実した時間となったようです。アカデミー卒業生達もそれぞれに自分のプログラムをしっかりとこなし、参加者・主催者の双方から、とても良かったとご評価を頂くことができました。

事前の準備から、当日の裏方・サポートまで、とても手厚い対応でフォローして頂いた、こどもとおとなのグリーンウッドワークSapporoの皆さま。講習会にご参加頂いた皆さま。このたびはとても素晴らしい講習会に参加する機会を頂き感謝しております。
どうもありがとうございました!


(最後に)

講師として今回、アカデミーに関わる3人をお招き頂きましたが、卒業生の2人ともがサポートスタッフなどではなく、講座のひと枠ひと枠を担うメイン講師として仕事をしていました。こうやって、卒業後にアカデミー生達が学校で学んだことを活かして活躍する姿をまじかに見ることができるのは、教員としても、すごく幸せなことだと思います。今後も、こうやって活躍していく学生が1人、2人とこれから増えて行くことを願っています。

木工専攻 准教授
前野 健