学びの祭典!令和6年度「課題研究公表会」(木造建築専攻)
前回、前々回の続きです。
木造建築専攻のトップバッターは三輪昂寛さんによる「家づくりにおけるマーケテイング方法の追求~作り手と住まい手の適正なマッチングを目指して~」です。
三輪さんは、木造住宅を手がける11社にヒアリングを行い、作り手が自社を十分に理解していない課題を確認し、自社の強みやターゲットを明確にする「自社分析シート」を作成しました。これを実践した結果、作り手が自社を見つめ直し、次の一歩を踏み出せる助けになりました。また、情報発信事例や他社の取り組みをまとめたコラムも作成し、他の作り手が参考にできるツールを提供していました。
ユニークな挨拶で会場を沸かせた三輪さん
2番目は、岩本悠汰さんによる「木の魅力に親しめる場の設計のためのパターン集の提案」です。
岩本さんは、木の魅力を感じられる場を設計するための「パターンシート」を作成し、その効果を検証しました。岐阜県内外の木育施設20か所を視察し、「場・モノ・活動・運営」の4つに分類した29種類のパターンをまとめました。これを基に、中津川市の既存建物を活用した放課後児童クラブを提案してくれました。お子さんのいる岩本さんならではの細かなこだわりが伝わる発表でした。
子どもと一緒に施設をまわり子どもの反応も課題研究に取り入れたと語る岩本さん
3番目は、中村幸恵さんによる「資源と産業の循環を促すワークショップ~他分野の相互理解と学びのネットワークを通して~」です。
中村さんは、森林資源と産業の循環を促進するワークショップ(WS)の可能性について検討してくれました。異分野の実務者間の相互理解が資源の有効活用につながるとの仮説のもと、伐採から建築までの一連のWSを実施し、30名にヒアリングを行った結果、体験型の学びが未活用材の価値を見出し、関心を高めていることを確認。さらに、WSを円滑に進めるための支援ツールを開発し、実践を通じて有効性を確認しました。公表会の会場にはたくさんの板が置かれていて、休憩時間にみんなで小屋の組み立てを開始!?あっという間に完成し、みんなで見てさわって誰かは登ったりして、中村さんの成果を肌で感じることができました。
WSについて楽しそうに語る中村さん
4番目は、山下修平さんによる「郡上八幡の町家建築に対する耐震化手法とその耐震評価について」です。
山下さんは、郡上市出身で地元郡上八幡の町家建築の耐震化方法を調査し、その効果を検証してくれました。課題研究では、実際の町家をモデル化し、地震時の挙動をシミュレーションした動画をみせてくれました。その結果、あっという間に町家はつぶれてしまい、聴衆からは驚きの声があがりました。山下さんは耐震壁を追加したり、基礎補強や接合金物の追加を組み合わせることで耐震性が向上することを説明し、町全体の耐震化に役立つと主張しました。
地元の町家建築に対する思いを語る山下さん
最後は、エンジニア科卒業後、クリエーター科に入学した山下輝さんによる「空き家利用したシェアハウスの課題」です。
山下さんは美濃市内のシェアハウスに住んでいた経験から、空き家をシェアハウスとして活用する際の課題を明らかにし、解決策を提案してくれました。空き家を活用シュル際の課題などを整理し、適切な「設計」「ルール」「契約」がトラブル回避に重要であることを明らかにしました。
最後の演者として堂々と発表する山下さん
2日間にわたる課題研究公表会、クリエーター科卒業生22名の皆さま大変お疲れさまでした。そして、素敵な発表ありがとうございました。
最後になりますが、学生の学ぶ環境をいつも陰ながら支えてくださっている事務局の方々、課題研究を作成するにあたりご協力いただきましたすべての方への感謝を伝え、報告を終えたいと思います。
皆さま、本当にありがとうございました。
~おまけ~
休憩時間の様子です。課題研究の中で制作した作品に触れたり、公表会の中では消化しきれなかった部分について議論していました。
最後の最後まで貪欲に学ぶ姿が印象深かったです。
林業専攻 中森