【視察報告】鉄道用枕木の製造現場を視察しました
木造建築専攻・講師の石原です。
先月末、岐阜森林研究所の中通部長、田中主任研究員と、可児市の小林三之助商店㈱可児工場を視察しました。
小林三之助商店㈱は多岐に渡る業務を展開していますが、可児工場では主に鉄道用枕木(木製枕木)の生産をしています。
同工場での木製枕木の生産量は日本一を誇ります。
小林三之助商店㈱可児工場では、自社で製材も行います。
枕木の使用樹種はかつてはケンパスが主流でしたが、
同樹種の流通量が減っていることもあり、現在はあらゆる国産材が使用されています。
枕木の基本規格は幅200 mm、厚さ140 mm、長さ2100 mmなのですが、
分岐(ポイント)用や橋梁部用の枕木ではサイズが大きくなります。
インサイジングマシンと割れ止めの金輪を木口に打つ機械を見せてもらいました。
こういった機械は枕木工場ならではのものです。
台車に載せられた枕木。レールの先に薬液注入缶があります。
防腐処理については、隣接する名鉄エリアパートナーズ㈱可児オフィス(旧・名鉄木材防腐㈱)が行っています。
年季の入った薬液注入缶になりますが、年間の処理本数は約30万本(全国シェアの約半分)にも及びます。
同社の上田部長に、薬液注入工程について説明していただきました。
1回につき600本もの枕木に薬液注入を行います。
薬液にはクレオソートとナフテン酸銅の2種を使っていたそうですが、
最近、クレオソートの使用が禁じられたため、今後は専らナフテン酸銅を使用していくそうです。
木製の枕木は、ハンドリングがしやすく、初期費用も安いため、
コンクリート枕木が普及した今でも一定の需要があるそうです。
木材製品の多様性とポテンシャル感じた見学になりました。
あまり馴染みのなかった枕木なのですが、
私はこの視察以降、鉄道の線路を見ると枕木を気にするようになってしまいました。(笑)
よく乗っている長良川鉄道でも、木製枕木はいまだに現役です(写真のように一部RC枕木になっていますが)。
最後になりますが、ご多忙の折に工場を案内していただいた、
小林三之助商店㈱可児工場の桜井部長(アカデミーの前身、林業短期大学のOBです)、奥田副部長、
名鉄エリアパートナーズ㈱の上田部長に深甚なる謝意を表します。
講師 石原 亘