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2025年02月20日(木)

「LIFE IS ASOBI」 〜 自然の世界に”いつも”なんてない!(ローカルビジネス)

 

<2025.1.29> 森林環境教育専攻1年の坂本 環(ぐっち)です。

私はアカデミー卒業後、両親が福井県で営んでいる自然体験業を手伝おうと考えています。少しでも将来の活動に活かせたらと思い、今回のレポートを担当させていただきました。

1月の「ローカルビジネス」、怒涛の現地視察の最後に、私たちは岐阜県下呂市にある216WORKS(ニジイロワークス)さんの氷瀑ツアーを体験しました。

216WORKSさんがある飛騨小坂地域は、日本三大温泉の下呂温泉から北に車で30分ほどの場所。御嶽山の麓に位置し、飛騨川とそこにつながる小坂川、その支流からなる山間に集落は形成されていて、「日本一滝の多い町」として知られています。その数は確認されたもので216瀑!日本の滝の数(落差5m以上)は約2,500瀑といわれているので、なんとその1割近くが飛騨小坂にはあることになります。

社名の「216」は小坂にある滝の数を表しているとのこと。そして滝壺にかかる「虹」も表しているそうです。

 

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早朝にアカデミーを出発し、飛騨小坂へ。2時間をかけて無事に216WORKSに到着。

寒波に見舞われたこの日、車の外はめっちゃ寒い!雪もありますが、なんといっても寒い。
路面も雪の下は凍っていて、油断すると転びそうなくらいツルツルです。

216works 代表 熊崎潤さん

こちらの目力が強そうな方が、今回ガイドをしていただく216WORKS代表の「くまさん」こと熊﨑潤(くまざき・じゅん)さん。

216worksさんは、多様なアウトドア・アクティビティを提供している”遊びの達人集団”です。冬山登山、滝めぐり、シャワークライミング、渓流釣り、サウナなどなど、四季を通して外遊びをフルに体験できます。そのコンセプトは、

「子供は子供らしく 大人は子供みたいに 〜 LIFE IS ASOBI」

まずは全力で遊ぶということだな・・・と自分たちは解釈し、あそびのテンションを高めていくのでした。

 

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私たちが体験するのは、厳冬期限定の「小坂な冬の滝めぐり」。氷瀑は森の奥深くにあるため、装備の確認やツアーの説明を念入りに聴きます。

装備も整い、よし!氷瀑見に行くぞ!!・・・となりたいのですが、なんとツアーの出発地点までは、さらに車で1時間以上かかるとのこと。「どんな場所なのだろう!?」とワクワクが大きくなります。

大雪の中、道中では車が進まなくなるアクシデントにも見舞われましたが、なんとか出発地点に到着。車から出ると、肌に冷気が刺さり、痛いほどの寒さです。

装備を整えて熊﨑さんのガイドの下、森の中へと歩き始めます。事前に216WORKSの皆さんがトレイルをつけてくれていたこともあり、今回は雪靴のままで行けることに。

道中には、”綺麗な空気の場所に生息する地衣類”があったり、”熊が冬眠していそうな大きな樹洞”があったりなど、「なにこれ!!?」だらけ。

地衣類「サルオカゼ」がいるのは空気のきれいな証拠

歩くこと2時間弱。想像を超えた世界を見ることができました。

小坂のこだわりのパン屋さんが提供している、パンと温かいスープのランチセットを食べたあとは、氷瀑を探検。

70歳でパン屋さんを始めた「ひこまさ」の美味しいランチセットはこのツアー専用

氷瀑に成長した滝の裏側

 

雄大な氷爆を堪能したあとは、来た道を辿り帰ります。

ツアー体験中、授業をすっかり忘れ、全力で遊びを楽しんでいました。帰り道では熊崎さんに「これだけ遊んでくれたら、ガイドとしては大満足です!」と言われてしまうほど、全員子供のようにずっとはしゃいでいました。

 

参加者が全力で遊べるのは、ガイドの熊﨑さんがいるからです。リスク管理、時間配分、コースの安全確認など、ツアーの運営や自然体験のインストラクターなど、体験を通して勉強になることがとても多かったです。

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ツアー体験終了後は、「地域資源の活用」についてお話を伺いました。

「小坂の景色や自然を、未来の子供たちにも見せたい」という思いで活動をしている熊﨑さん。はじめは、地域にあるNPO法人「飛騨小坂200滝」でボランティアガイドをしていたそうです。

一方で、持続可能な活動にするには、地域に雇用が生まれることも大切だといいます。そのためには、収益を生み出すビジネスが必要になります。216WORKSを立ち上げたことで、収益が生まれ、人材育成にも力を入れることができるようになりました。

こうして<飛騨小坂の自然体験を未来に残す>、その可能性が見えてきたそうです。地域の思い、その芯はNPO法人に、思いの継続を216WORKSでつくっていく ・・・ 二つの事業体は互いに必要な<両輪の関係>だといいます。

また、自然体験事業において、「ガイドの個性が大事だ」というお話も聞くことができました。

「216WORKSのプログラムでは、マニュアルは最小限にとどめ、ガイド一人一人の個性が際立つようにしているんです。その個性と飛騨小坂の自然が、ファンの獲得につながっています。中には、現在216WORKSで働くようになった人もいます」

参加者からスタッフが生まれるのは驚きです。

216WORKSに関わるスタッフは、現在約15名。
どのようにして、個性豊かな仲間を集めることができたのでしょうか?

「縁と、運と、タイミングですね」と、熊崎さん。

熊﨑さんは日本中でガイドをしたり、新しいツアースポットは常に探しているそうです。そこでの人々との出会いが、「いっしょにやろう」という仲間づくりにつながっているようでした。仲間は<積極的に活動していると、自然と集まる>ということを、熊崎さんのお話から思いました。

 

2年生になり、これから課題研究が始まります。1年後には卒業して、福井に戻ろうとしている自分。何事も中途半端に終わりがちです。

「一人でもやってやるんだ!」という強い気持ちをもって、まずは挑戦していくことが、自分には必要だと思いました。
見たことのない景色に囲まれながら、全力で遊べた一日。(注:自然資源を使ったビジネスを、リアルな体験を通して実践的に学んだ⋯という意味です笑)

貴重な体験と講義を頂いた熊﨑さん、本当にありがとうございました!!

<クリエーター科・森林環境教育専攻1年 坂本 環>