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2025年02月12日(水)

中津川宿 木造建物の利活用提案

「木造建築計画の応用」と「古民家の再生」の合同授業で、中津川宿にある17坪の平屋の建物の利活用提案を計画しました。

まずは、木造建築病理学に基づく調査です。

10月にオーナーの方に建物の想いや周辺の様子をインタビューしました。
その後、詳細調査に入り建物の診断を行っていきます。

詳細調査の情報を「住まいの診断レポート」として取りまとめ、各種性能を定量的に評価していきます。

住まいの診断レポートでは、6つの性能を定量的に評価します。
耐久性、耐震性、温熱性、省エネ性、バリアフリー性、火災時の安全性です。

増改築の長期優良住宅水準を100点とすると、おおむね30点前後と、全体的に性能が伸びませんが、古民家はこの程度の状態が多いです。

これを改修によってどこまで向上させるか、コストとの兼ね合いもありますが、数値を見ながらオーナーの方と打ち合わせができるようになります。

さて、これらの情報をもとにどのような利活用を提案するか、2つのグループ(2~3人グループ)に分かれて計画を練っていきます。

中津川市の現状分析から、2つの面白い提案が出てきました。

1.放課後児童クラブ

父母の負担が大きいというアンケートやインタビューをもとに、民立民営で公立より高額だが木育プログラムや空間の質を高めて運営する放課後児童クラブの提案です。

感性が育まれる子供たちの居場所をテーマに、古民家の風合いや外部とのつながりを意識した建物改修を提案しています。

他の児童クラブへのインタビューをもとに運営収支を試算し、現実味のある計画となりました。

2.チャレンジシェアキッチン

中津川市が実施したアンケートでレストランや飲食店が不足しているという市民や観光客の声を拾い上げ、シェアキッチンとして運用することで、開業のハードルを下げ開業者を増やすことを目的にした提案です。

こちらも県内外の同様のシェアキッチンを訪れ、どのような運営がされているかを参考に収支計画まで提案しています。

これら2つの提案を中津川市役所の各担当課をはじめ、中津川で活動されている民間企業の方、軽10名に向けてプレゼンを行いました。

放課後児童クラブの提案に関しては、中津川市子ども家庭課の方からは「他の学区の子にも使ってほしい、その意味では、長期休暇時は人数を増やすこともあっても良いのではないか」その他にも「未来あるこどものため、歴史ある場を伝えられ、広がりがある提案と感じた」などのコメントをいただきました。

シェアキッチンに関しては、中津川市商工振興課の方から「チャレンジショップの要望がある。ぜひ実現してもらいたい」民間事業者の方から「非常に興味がある。」「改修費はこれまでの経験から提案よりかかるが実現に向けて検討したい」といった好意的な意見が多く出てきた。

今回の提案は、建物改修に加え、事業の収支計画も含めて提案したことで、実現に向けた具体的な議論に広がった。

今回のプレゼンが中津川宿のさらなる活性化につながることを期待したい。

教授 辻充孝