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2025年02月11日(火)

大好きなまちで持続可能な教育を考える(ローカルビジネス)

<2025.1.23> クリエーター科・森林環境教育専攻1年、山本佳穂(かびごん)です。

ローカルビジネスの授業で、私たちは飛騨市にある「株式会社Edo(エドゥ)」の代表、関口裕太(せきぐち・ゆうた)さんを訪ねました。

Edoの関口祐太さん

Edoは教育支援事業を全国で展開しながら、飛騨市内に探究スクールを開設。教育事業以外でも、最近では食堂やゲストハウスもてがける、地域密着型企業です。

今回は地元の中高生を対象に探究スクールを開講している「Edo New School」でお話を伺いました。

道路に面した大きなガラスの入口が目を引く

 

入るとすぐに、クリエイティブな空間が広がります。

部屋の中央にある机は天板全体がホワイトボードになっていて、何でもすぐに書き込める仕様になっています。地元の家具メーカーさん、家具デザイナーさんと一緒に制作したスクールオリジナルのテーブルだそうです。

「これ、アカデミーにもほしい!」とまじまじと観察する教員と学生たち。

話を聞きながら書き込めるホワイトボードの机

 

そんなクリエイティブな関口さんは、以前は家業である飛騨市の学校教材を販売する会社で働きながらコーチングを学び、プロコーチとしても活動されていました。その中で、飛騨市から高校の総合学習の授業をやってほしいという依頼が来たそうです。

授業を通して、内気だった男の子が発表会では400人という大勢の前で自分の覚悟を話すまでになった姿を目の当たりにして感動。

「泣ける!先生っていいなぁ」

と、教育の面白さに惹かれていきます。

教育の動向について理解を深めようと、関口さんは全国の教育に関わる方々を訪ねます。現場を支えている様々な立場の人と出会う中で、多くの課題に直面したそうです。

こんなに困ってる人が多くいるのか⋯。 共通の課題も多いし、民間事業者だからこそできることがあるのではないか」

そうして株式会社Edoを創業しようと決意しました。

 

ちなみに社名である「Edo(エドゥ)」の意味は、「”Education Do”の略です ・・・ というのは後付けで、『どっ』とか『どぅっ』とか、”お腹に力が入る、気合が入る名前!”を考えている中で、できた名前ですね(笑)」と関口さん。

え、そんな理由なの!? と思っちゃうような社名が決まる経緯でしたが、確かに意味なんて後付けのことが多いかも?

そんなところまでおちゃめに話してしまう関口さんに、気づいたらみんな興味津々になっていました。

 

講義ではEdoで現在手がけているプロジェクトの説明はもちろん、関口さんが現在考えている<脳内のモヤモヤ>が絵やグラフで図示されたパワーポイントも紹介してくださいました。

今回のお話を通して、印象に残っていることが2つあります。

 

1.聴くことの大切さ

1つ目は関口さんの「聴く姿勢」です。初めに私たちが自己紹介しているときや、お話の途中でアカデミー生から質問が出たときの、関口さんの聴く姿勢が本当にすごい。

何者なのか、どこから来たのかもわからない学生たちに対して、本気で関心をもって、全身から「あなたのことが知りたい」というオーラが出ているようでした。話す側もやはり嬉しくて、どんどん言葉が溢れてきます。

アカデミー生の話を真剣に聴く関口さん(写真左)

 

私たちはこの「ローカルビジネス」の授業で、たくさんの方々にお話を伺ってきました。果たして私は「聴く」がちゃんと出来ていたのか ⋯。

— 知らなくてもわからなくても、まずは興味をもって聴くこと
— その大切さや難しさ

そんなことを考えさせられる時間でした。

 

2.課題を多面的に捉えて可視化する

2つ目は、社会や物事を多面的に見ることの大切さや面白さ、そして見えたものの要素を分解して整理し、他者と共有するために図示できるまで分析する関口さんの凄さです。

Edoは「飛騨市学園構想」のプロジェクトマネジメントも担っている

 

今回見せていただいたパワーポイントの中には、「地方の教育の負のループ図」「人口減少社会の地域づくりとは」「教育や学びの領域図」などといったテーマもありました。
どれもが、アカデミー入学前から<教育>という分野に片足を突っ込んできた私にとって、興味深いものばかりでした。

関口さんは早朝から始める資料作成の時間が最も集中できるそうで、モヤモヤ、フワフワとした課題やテーマについて整理したり、考えを巡らしたりするそうです。その作業は「粘土をこねて造形する作業に似ている」と関口さんは言います。

「2D(平面的)じゃなくて、3D(立体的)で考える」

私にはまだわからないけど、それができると、

— 人に対して、思いや課題を明確に伝えることができる
— そうすれば、どんな組織においても、どんな課題であっても、いつだって変えていける

そんな気がしました。

 

関口さんのお話には常に、地元飛騨への愛が溢れていました。そして、教育に対して真摯に向き合っている様子がひしひしと感じられました。

私もこれから地方で教育を考える人になりたいと思っています。人口減少していくまちで、いかに教育を持続可能なものにするか —— 。

場所は違えど思いは同じ。嬉しい気持ちと勇気をもらったような気がします。
関口さんはじめ、飛騨でお会いしたみなさん、本当にありがとうございました!!

 

<森林環境教育専攻1年 山本佳穂>