木工事例調査(材料購入編) ②カネモク
木工の事例見学をする木工事例調査で、10月4日に岐阜県高山市にある株式会社カネモク(以下、カネモク)を視察しました。その時の様子を学生のレポートでご紹介いたします。
カネモクは、原木の仕入れから製材、木取り、加工までの一連の工程を行っている会社です。特徴的なのは、広葉樹のみを取り扱っていること。板材の販売も手掛けており、業者だけでなく個人でも購入が可能とのことです。
今回は、授業で使用する材の購入が主な目的です。1年生はテーブル製作のためにハンノキ、2年生はウィンザーチェア製作のためにクリ材を探しに行きました。
その日は、ハンノキやクリ以外にも、カエデ、トチ、シデ、ホエビソザクラ(ウワミズザクラ)、ホオノキなど多くの広葉樹を見せていただきました。広葉樹を購入する機会はそう多くないため、学生たちはそれぞれの目的に合わせ様々な樹種を購入していました。どんな作品が生まれるのか、今後が楽しみです。
材の購入を終えた後に、アカデミー卒業生でカネモクで働く中野陽平さんに会社案内をしていただきました。
まず見せていただいたのは原木です。カネモクでは、原木を仕入れているそうです。材木の状態を見ながら製材を行えますし、お客様のニーズにあった用途別の製材ができるからという理由もあるからだそうです。原木の取り扱いとしては、長期間放置すると小口から割れが入ったり腐敗が進んだりするため、特にトチやウダイカンバといった白みの多い木材は、入荷後1週間以内に製材をする必要があるとのことでした。
板材にした後は、乾燥です。
広葉樹は種類ごとに特性が異なるため、乾燥の仕方もそれぞれ異なるとのことです。広葉樹を専門に扱っている会社ならではのノウハウが詰まった工程であり、何十種類ものの乾燥手順があるそうです。こうした細やかな対応が、品質の高い製品を生み出しているのだと感じました。
最後に木取り・加工現場にて、森のじゅうたんという国産材無垢フローリングをメインに見せていただきました。
中でも印象的だったのが、大型のNCルーターです。
フローリングの表面加工の一部としてに大型のNCルーターが使われており、その加工方法の一つとして日本の伝統的な名栗(なぐり)加工が施されていました。名栗加工は古くから伝わる技法で、木の表面に独特の凹凸をつけるものです。この伝統技法を現代の機械技術を活用して再現することで、文化の伝承と現代革新が見事に融合している様子を目の当たりにしました。
今回の視察では、多様な樹種の板材を見学し、製材から乾燥、加工に至るまでの一連の流れを学ぶことができました。特に、広葉樹の特性を理解することがいかに重要であるかを実感しました。また、原木の扱いや乾燥方法、名栗加工など、木工や林業において必要な視点や技術を新たに得ることができました。中野さんをはじめ、カネモクのスタッフの皆様、お忙しい中ご案内いただき、本当にありがとうございました。
クリエーター科木工専攻1年 安達彩佳 / 林業専攻2年 佐藤雄一