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2025年02月06日(木)

木工事例調査(材料購入編) ①金山チップセンター

2024年10月4日の木工事例調査。まずは下呂市の「株式会社金山チップセンター(以下金山チップセンター)」を訪問しました。社名の通り、木材チップの製造業を主軸とされています。

今回は社長の河尻和憲さんに事業内容や構内をご説明いただきながら見学させていただきました。

金山チップセンター

生産される木材チップ

 

 金山チップセンターで製造されるチップは大手製紙会社で紙の原材料をメインに、製紙以外にもバイオマス発電の燃料や、きのこの菌床、酒造やアロマ製品関連など多岐に渡り活用されています。

製造されるチップの大半はスギ、ヒノキなどの針葉樹だそうです。樹種や大きさなど、様々なリクエストに応じたチップの生産もされていますが、広葉樹のチップは用途によって生産管理上シビアな対応が必要になるそうで、金山チップセンターでは特注での対応をされているようです。

 昨今はバイオマス発電の拠点も増えており、県を通り越してチップの取り合いが起こっていると聞き、間伐材を利用しているとはいえ、なんだか本末転倒ではないか?でも電気も現代社会では実用不可欠だし…と個人的にはとても複雑な気持ちになりましたが、木工や建築ばかりが木材の利用方法ではないということを肝に銘じなければと思います。

破砕機に入れられる丸太

 

 金山チップセンターではチップ製造以外にもオリジナルの木工製品やワークショップの開催などにも積極的に取り組まれており、木工製品は下呂市のふるさと納税の返礼品にも選定されているとのことです。こういった製品のデザインや考え方は川尻さんのアイデアをもとに製作されているとのことで、洗練されたデザインは河尻さんの前職でのご経験が活かされているように感じました。

金山チップセンターのオリジナル商品

 

 そしてもう一つの事業に、製材した広葉樹の販売があります。木材チップの原料として購入した丸太の中には良好な広葉樹が入ってくることがあり、チップとして消費するにはもったいない!という河尻さんの思いから、そのような丸太を製材し、板として販売することを始められました。樹種は40~45種程度の取り扱いがあります。現在では入荷する広葉樹の量が減ってきているそうですが、その一方で需要量は高く、全国各地の家具職人等との取引があり、以前アカデミー卒業生からもこちらで材料を購入しているという話を聞きました。また少量での購入にも対応してくださるので、色々試しに作ってみたい!というような私たち学生にも大変ありがたいです。この日も各自思い思いに色々な樹種の板を購入させていただきました。

広葉樹を購入する

 板材を購入する際に河尻さんが一つ一つ埃を払いながら「これはいい材だよ~」と言いながら確認してくださる様子や、「雑木という言葉が嫌いで…色味の違いなどの特徴が樹種によってそれぞれあるのだから」との言葉から、本当に木が好きなのだなというのと、その好きだという気持ちが「もったいない」に繋がっているのだなと感じました。

 河尻さんの「もったいない」のバトンを次に渡せるよう、私たちは購入させていただいた材料をしっかりと各々のものづくりに活かしていかなければと、身の引き締まる思いとなった見学でした。

この度はお忙しいところご対応頂きありがとうございました。

 

浅野由佳梨、見世健太(クリエーター科木工専攻1年)