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2025年01月29日(水)

増改築時の省エネ評価(2025年4月~)

省エネ基準は2025年4月以降、基本的に住宅を含むすべての建築物が適合義務化になります。
その場合、気になるのは増改築を行った場合の扱いです。
 
今回は、①法規上どうなるか、②実際どうなるかに分けて考えてみます。
 

①増改築の法規上の評価

詳しくは、建築研究所の「住宅増改築評価マニュアル」がわかりやすいです。(執筆時 第2版2024.12)

要点をまとめてみます。
 
これまでは建築物全体で評価することになっていましたが、既存部分の性能確認が難しいため、増改築部分のみの省エネ基準への適合を求めることになります。
(別棟で増築の場合は、新築同様の評価になります。)
 
省エネ基準で求められる性能は、
1.外皮性能
2.一次エネルギー性能
の2つです。
 
1.外皮性能
・増改築部が仕様基準か誘導仕様基準を満たすことを確認。
  (UA値などの性能では評価しない)
 
2.一次エネルギー性能
・部分的な評価はプログラム上できないため、標準住戸(120.09㎡のモデル住宅)でモデル的に計算。
  (床面積は入力しない)
外皮は増改築部分が仕様基準、誘導仕様基準のどちらに適合しているかで判断
  (UA値計算は必要なし、高断熱の増築でも誘導仕様基準で評価)
  (誘導基準の場合、既存部との面積案分で性能を計算する。住宅増改築評価マニュアル15頁参照)
設備は増改築部に設置する設備を評価
  (既存設備は確認の必要なし)
エネルギー評価結果は、BEIのみ
  (合否のみでエネルギー消費量予測はできない)
 
つまり、増改築の法規上の扱いは法適合の合否を判断する程度の評価で、省エネ性能を計算するわけではありません。
 
すでに現行版の「エネルギー消費性能計算プログラム(Ver3.7.0)」で計算できるようになっています。
 

②実際の増改築性能の評価

法規上は適合判断のみでしたが、実際の性能はどうでしょうか。

その場合は、既存部においても調査を行い既存住宅の性能もある程度は把握する必要があります。

本学の木造建築病理学では、改修前建物の詳細調査を行い、既存住宅の性能把握を行っています。

劣化対策や耐震性に加え、断熱性(温熱性能)など6つの項目を定量的に評価しています。

温熱性能の把握は4つの方法を組み合わせています。
①設計図書による推察、②目視確認による詳細調査からの計算、③実測による把握、④築年代ごとの断熱材等の出荷統計・実態調査からの推計です。
このように、既存住宅部をしっかり評価できれば、増改築部の性能を合わせて外皮計算が可能になります。

外皮性能予測ができれば、そのまま一次エネルギー性能の計算に入力することで、定量的な増改築後のエネルギー消費量が予測できます。

今後、増加していくであろう増改築建物は適合判定だけでなく、しっかり性能把握して丁寧に設計していきたいものです。