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2024年12月25日(水)

里山キャンパスプロジェクト 〜循環が見える Raised Bed(レイズドベット)& HugelKultur (ヒューゲルカルチャー)〜

 

森林環境教育専攻では、来年度のアカデミー改革の目玉のひとつでもある
「里山キャンパスプロジェクト」の実習の試行を今年度から始めています。

今や世界中の人が注目している持続可能な暮らしのデザイン思想
「パーマカルチャー(Permaculture)」も、実は日本の里山文化をはじめとする
アジアの伝統的な自然と寄り添う持続可能な暮らしにヒントを得て生まれました。

ビル・モリソンとともにパーマカルチャー を生み出したデイビット・ホルムグレン
にオーストラリアで会った際、「今すぐに日本に帰って、お年寄りたちから一刻も早く
伝統的かつ持続可能な技術や知恵を学んできなさい」と言われたことを今でも
思い出します。かれこれ15年以上も前のことでしょうか。

近年、パーマカルチャーは、世界中の伝統的な技術やアイデアに、近代技術も融合し
どんどん進化しています。森林文化アカデミー からも、森林空間や里山空間を
舞台に、日本型パーマカルチャーを世界に発信していけたらと思っています。

さてさて、前置きがかなり長くなりましたが、そんな里山プロジェクトの一環として
もりもりキャンプでも使うキャンプベースのキッチン近くに食育や環境教育の視点
も兼ねて、子どもたちの目線の高さに畑を作ってみました。

まずは製材後に出る廃材を使って高さ70cmくらいの木枠を作ります。この高さなら
子どもの目線だけでなく車椅子の人でもじっくりと土に触れ、観察することもできるし
何しろ作業するのにかがまずに済むので足腰に優しくて楽なんです。

お次は中身。まずはそのへんに転がっている「木」を大量に投げ込みます。腐り始めて
たり、菌が入り始めた木なら最高!そして枝、葉っぱ、コンポストなどを重ねて最後に
土を入れます。途中、水もたくさんまきながら木の隙間に葉っぱや堆肥を落とし込みます。

ヤギのフンと藁とおがくず

炭素分の高いものから窒素分の高いものへと重ねて畝を作るちょっと変わったこの方法、
ヒューゲルカルチャー(Hugelkultur)と言われていて、オーストリアやドイツで盛んに
行われていた方法だそうです。土だけで畝を作るよりも、水を蓄えてくれる上に養分も
少しずつ作ってくれるし、何しろ作物の成長を助ける「糸状菌」が生えやすくなるそうです。

アカデミー内にあるmorinos(モリノス)でも2020年に作成し、今ではめちゃくちゃ木や
野菜が大きく育ってます。

当時は日本語のネットで調べても自分たちのサイトしか見られなかったのが、たった4年で
全国でいろんな人が実践するようになりネットの日本語サイト上でもよく見るようになりました。
なんとあの女優でオーストリア在住の中谷美紀さんもご本人のブログでご自宅のヒューゲルカルチャー
を紹介しています(お洒落!)。ヒューゲルカルチャー発祥の地とも言われるオーストリアでは
やはりよく実践されている手法なのかもしれないですね。

今回の材料は、木枠=製材施設から出た廃材、丸太や枝=周辺の森で拾ってきた、
堆肥=昨年の冬のもりもりキャンプで子どもたちと作った落ち葉堆肥と、今年から来た
ヤギ2頭のフンのコンポストを活用しました。購入したものは「ゼロ」。
制作段階からすでに色々なものが循環しています。森は豊かですね。

来年の夏のもりもりキャンプの頃にはここから野菜やハーブを収穫してキッチンで使うこと
になるでしょう。落ち葉も、ヤギの糞も、巡り巡って口に入るという流れが、目線の高さで
リアルに実感できることになるでしょう。今から楽しみです。

なんちゃって先生 萩原・ナバ・裕作