【見学報告】カリモク家具の工場を見学しました
エンジニア科1年生の授業「木材流通の現場見学」において、
広葉樹材の利用現場の見学を目的に、カリモク家具㈱のグループ工場(知多カリモク㈱、東浦カリモク㈱)を見学しました。
カリモクグループでは、資材部門と組立部門が別会社になっています。
資材部門には4社(4工場)、組立部門には5社(7工場)があり、
知多カリモク㈱は前者のうちの1つ、東浦カリモク㈱は後者のうちの1つになります。
まずは、工場の概要と家具部材の特徴について知多カリモク㈱の三輪取締役から説明を受けました。
続いて、広大な工場の見学です。
工場内には国内外から集められた原板がストックされていました。
こららの在庫には2次元バーコードのラベルが貼られ、効率的に管理されているそうです。
家具材において最も重要なのが乾燥です。
天然乾燥中の材料も、2次元バーコードのラベルによる管理をしていました。
ちなみに、これらの広葉樹材の原板の桟入れは人の手で行われています。
乾燥機についても見学しました。半年間の天然乾燥の後、1~2か月の人工乾燥を行います。
乾燥機の扉を開けて、中の様子も見せていただきました。1機あたりの容量は約20㎥程度あるそうです。
続いて、加工スペースを見学しました。
工場内の資材の運搬は、無人車によって行われています。
曲げ木の工程です。高温の蒸気で蒸し、専用の治具で曲げ木を行います。
集成加工の工程です。材料の色に合わせて、接着剤に着色をすることもあるそうです。
場合によっては、外側に無垢板を貼って、継ぎ手部分を見えなくする工夫もしています。
こちらは丸棒加工機。数多くの種類(形状)の丸棒を自動制御で加工していきます。
一連の加工工程を見学し、学生諸君にも「見た目よく、かつ無駄なく材料を使用するために、どのような工夫をしているのか」といったことがよく伝わったのではと思います。
工場見学後、未利用国産樹種による試作品も見せていただきました。
「積極的にいろいろな樹種の利用に挑戦しているのはすごい」と学生も感想を述べていました。
知多カリモク㈱の後は、隣接する東浦カリモク㈱を見学しました。
カリモク家具の人気商品「ザ・ファースト」シリーズに試しに座ってみました。
・・・睡眠学習に移行してしまいそうな雰囲気になってしまいましたので、
学生諸君を叩き起こして工場内を見学させてもらいます。
こちらは「ベンチマーク商品」といい、これを基準として、商品の品質向上に努めているそうです。
続いて、組立工場内を見学しました。
切削加工機はかなり自動化されているようです。
刃物の研磨は自社でも行っています。
安全性のテストも行っています。JISよりも厳しい独自規格を定めているとのことです。
組立、塗装と工程順に見学をしていきます。
最新鋭の設備も有するカリモクグループですが、
肝心なところには人の手がかかっていて、やはり高級家具メーカーとしてのこだわりを感じます。
完成した製品は、人の目による検品を経てようやく出荷されます。
カリモク家具では、自社製品の修理も行っています。
50年以上も前の商品の修理をしたこともあるとか…
「そもそも、修理の依頼ができるとは知らなかった」と驚く学生もいました。
これまでのエンジニア科の授業や実習でも、針葉樹材や木造建築についての基本知識については伝えてきたつもりですが、
このような「家具としての木材の使われ方」についてじっくりと見ることができたのは、学生諸君にとって大きな収穫になったのではと思います。
最後に、このたび工場を案内してくださった、カリモク家具㈱商品管理部取締役部長の榊原様、知多カリモク㈱取締役の三輪様、生産管理課課長の小林様、東浦カリモク㈱品質保証課係長の横山様、生産管理課主任の和田様に心よりお礼を申し上げます。
講師 石原 亘