里山を感じる・表現する(ソーシャルデザイン)
<2024.10.11> 10月になり、後期に突入。森林環境教育専攻の1年生向け選択科目「ソーシャルデザイン」もスタートしました。
昨年度まで3つの科目に分かれていたこの科目を、今年からひとつに統合。学生の興味・関心に合わせて、より柔軟に実施できるようになりました。
***
導入となる第1回目は郡上市で実施。広い郡上市の城下町と農村部を訪れながら、地域の捉え方を考えます。
城下町の郡上八幡では、自分で気になるものを探しながら歩くワークを実施。「知図を描こう!」の著者でも知られる市川力さんの提唱される「Feel度Walk」を参考に、写真を撮りながら古い町並みを歩きます。
1時間ほど自由に歩いた後、気になったものの写真を紹介します。学生それぞれの視点が違い、様々なものの見方に驚いたり、写真から新しい関心が生まれたり、刺激的な学び合いが生まれていました。
「水と踊りの町」として有名な郡上八幡の成り立ちについても説明しましたが、知識からではなく、自身の発見から関わる地域に興味を持つこと、またその土地が持つメッセージを自身で気づく力は、これからの人生でどんなところに行っても楽しめるようになるので、地域に関わるみなさんにはぜひ磨き続けてほしいです。
午後からは、いつもお世話になっている「明宝歴史民俗資料館」を訪れました。4万点を優に超える民具の海から、自身が惹かれるものを見つけ出します。
それぞれが見つけた民具を起点に、ベテランの原義典(はら・よしのり)さん、末武東(すえたけ・あずま)さんからお話を伺いました。
自身が惹かれった民具から、それらが使われていた当時の生活や里山の風景、自然環境を想像し、1枚のパネルにまとめるのが、この授業の目的です。しかも、実際に資料館でスタッフの方々に使っていただけるようなしっかりとしたものを目指します。
昨年、先輩たちがつくったパネルは、資料館の様々なところで展示されています。原さんからは、
「このパネルの制作をきっかけに、自分たちも新しい気付きが生まれた。さらにこのパネルは、自分たちと来館者との会話を生むきっかけにもなっている」
という嬉しいコメントをいただきました。今年の作品も使用していただけるものになるよう、学生も気合が入ります。
当時の里山の様子を知り、実際に民具を使っていた体験から伝える原さん、末武さんのお話はとても貴重で奥深く、学生たちは興味津々です。毎度のことですが話は尽きず、閉館時間をもってタイムアップとなりました。
今回、学生のみなさんが興味を持ったテーマは:
・林業の道具
・魚とりの道具
・お酒の道具
・ハレの食器
・葬儀
などなど。これらのテーマから、どのようなかつての里山の風景を思い描いて表現するのか楽しみです。
学生が作成したパネルは、、11月3日(日)にJR 岐阜駅前で行われる「ぎふ信長まつり」に、明宝歴史民俗資料館の分散展示として実際の民具と共に展示します。「杜の架け橋」(北口・2階)の森林文化アカデミー・ブースに、ぜひお越しください!
(森林環境教育専攻 小林)