World Logging Championships in Austriaレポート 競技ルール
競技ですが、いくつか国内大会と違うところがあります。
伐倒競技ですが、マストツリーは15mです。国内ではトラック運搬の関係で15mのマストツリーの運搬は困難で、10m先の目標点を狙うマストツリーで競技を行う場合が多いです。
マストツリーの会場には砂を引いていて、伐倒後に跳ねてずれることはありません。木の曲がり等、予測できない跳ねによって点数が大きく変わるため、できるだけ跳ねがないようにしています。大会のレベルが上がれば上がるほど、跳ねる等予測困難な要因は排除して大会運営したいところです。
競技ルールについては、大会前に日本も含めて技術委員会が開かれ、どのような競技ルールにするのか話し合われます。大まかなルールについては変わらないものの、例えばおが粉の厚さを競技前にチェックするのか(次回の世界大会からはチェックするそうです)、2段になった場合の角度の測り方はどうするのか話し合われます。この点では、各国への公平さが担保されています。
ialcのサイトでは、競技ルールに変更希望がある場合の申請フォームが掲載されています。
https://www.ialc.ch/Englisch/Basics/Regulation/
得点表については、このような感じですべて英語もしくはドイツ語です(当たり前ですが)。項目は基本的に同じです。また抗議についてのルールがあり、抗議が認められています。もし抗議が受け入れられた場合は、対応してもらえます。
今回の場合、U24クラスの山岡選手が伐倒後に跳ね、より目標より遠い位置に移動してしまいました。本来であれば、跳ねないように砂を引いていますが、それでも跳ねたということで、抗議した結果、再度の競技が認められ2度目の伐倒を行いました。
競技ごとの判定は、その場の審判に任せるものの、グレーゾーンなどその場の審判では判断しきれない部分があるとういことでしょうか。このような抗議に関するルールが設けられています。ただ抗議が認められることはあまりないようです。リトアニアの選手は抗議したけれど認められなかったと話していました。
エストニア大会、オーストリア大会を体験しましたが、ペナルティについては日本大会と比べるとそこまで厳しくありません。日本ではペナルティーだが、こちらではノーペナルティーということもあります。
日本のルールは過去の大会の厳しいルールを積み重ねているそうで、今回の世界大会の基準と比較すると厳しいです。おかげさまで日本チームがペナルティを取られることはありませんでした。
リトアニアの選手は、なんでこんな世界大会は厳しいんだ!!と話していましたが、国によって細かいルールの認識が違うようです。今の時代snsもありyoutubeもあり、共通理解を深める動画なり、資料なり出来ないものかと思いました。
最も驚いたのは、私が使用するスチール500iのチェンソーは、着脱用とその他競技用で、2つクラッチカバーを提供しており、競技に合わせてクラッチカバーを変更してもよいそうです。チェンソーコントロールという正規のチェンソーを使っているかどうかチェックするブースで、クラッチカバーは一つか二つか聞かれ、「クラッチカバー二つってどういうこと!?」と驚きました。
1:49:15でNorwayのOle Harald L. Kveseth選手が着脱競技をしています。クラッチカバーの形状が、日本で一般的に売られているものと異なります。プラスチック製で軽量かつ取り外しがしやすい形状になっています。
ちなみにスチールは世界大会においても競技用パーツを購入することが出来ず、競技用パーツをセットで貸与しているそうです。現状の日本国内のルールでは、市販品しか使用できず競技用パーツを使用することが出来ません。
チェンソーメーカー各社、WLCで勝つために競技用のチェンソーやパーツを選手に提供しています。各国の代表選手の多くは、メーカーのサポートを得ながら大会に出場していますが、なかには私のようにメーカーのサポート関係なく頑張っている選手もいました。
競技ルールの違い、メーカーのサポートの有無、いろんなことを考えさせられる大会でしたが、表彰台に登る選手の競技を見ると、無駄な動きがなくとても上手です。多くの練習を重ねているのでしょう、動きがダンスのように体に染みついているかのごとくです。結果を出すために大事なことは、本番に向けた準備であり、練習の成果を本番で出せる精神力だと思いました。
今回は競技ルールについての報告でした!
林業専攻 杉本