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2024年08月28日(水)

森の守り手を育てる:En2 森林獣害

森林技術者を育てる「森と木のエンジニア科」では、木を伐るだけではなく
森林施業をより有意義に行うべく、獣害対策についても学びます

1年生では「哺乳類・鳥類の生態基礎」という科目で生き物について触れますが、大型哺乳類について触れる時間は限られており、現在のカリキュラムでは2年生になって森林に大きく影響を及ぼす哺乳類による獣害対策を学ぶ実習が設けられています。

とある現場の風景。投影している写真の中に7頭のニホンジカが隠れています

教員の実体験を交えた講義で野生動物に対しての理解を深めた後は相手をより深く知る時間です。アカデミーには高山の田中正至氏から寄贈いただいた剥製があり、生き物を学ぶ上で格好のサンプルとなります


インプットだけでなく、アカデミーの裏山にある演習林での獣害対策も欠かせません。というのも、毎年学生が一生懸命植えた苗木たちがノウサギやニホンジカの食害にあってしまうからです。過去に設置した防護ネットも定期的に見回りをしなければ獣の進入路になってしまう為、補修が必要になります。

落枝や落石で欠損した個所の補修

被害状況・害獣の種類・害獣の個体数などに応じて必要になる対策も異なるので、防除だけでなく捕獲も想定した対策を実施しました。

【くくり罠の設置体験】

小さな踏み板をニホンジカに踏ませる為に、ニホンジカの生態や習性を理解する必要があります

 

【シューティングシュミレータでの練習】


銃に馴染みのない日本では、目にも手にも触れる事がほぼ無い為トレーニングの機会すらありませんが、欧州で実際に狩猟者のトレーニング用としても導入されている機器です。楽しみながらも銃を扱う上でのマナーや弾の軌道の事を体験を通して学ぶことが出来る優れものです。ドイツでは狩猟のライセンスを取る前だけでなく猟師が自身のトレーニングとしても利用しているとの事でした。

獣害対策とひと言で言っても様々な手法があります。現地での獣害を適切に理解して、フィールドに応じた対策を講じることができる様な人材育成をアカデミーで取り組んでいきたいと思っています。

報告:新津裕(YUTA)