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2024年07月18日(木)

丁稚基地 竣工図面公開(自力建設2022)

2022年度の自力建設「丁稚基地」(木造建築倉庫)

竣工図面の製本が教員室に置いてあります。厚みにして15mmの分厚い冊子です。

このたび、学生の力作の竣工図面をPDFでHPで公開しました。
(近年の自力建設は竣工図面を公開しています)

丁稚基地(2022年度 自力建設)

目次を見ると、さまざまな図面で成り立っていることが分かります。

延べ床面積24㎡の小さな建築ですが、A3で91枚の大ボリュームです。

森林文化アカデミーの木造建築専攻は、設計者を育てる教育を行っています。
そのためには、しっかりとした図面を描けることが必須の条件です。

そこで2001年の開学時から、学生自身が設計して、図面を描き、墨付けして、刻んで、各種工事を行い建物を作り上げる自力建設を行っています。
この過程で必要な情報が何か、現場で見やすい図面はどんなものかを身を持って体験します。

いくつかの図面を見てみましょう。

基本の平面図には、使い勝手の良い収納棚の検討した結果や、基準となる寸法をどのように押さえたか、既存建物との接続をどのように計画したかなど、さまざまな要素が描き込まれています。

建物性能の要となる矩計図(かなばかりず)のは、構造や断熱の考え方が現れてきます。
限られた予算(150万円)の中で、要望をどのように実現するかを検討した結果が下記の図面です。

基礎は列状の布基礎にして、構造的に必要な強度を満たしつつ、使用材料を極限まで減らしています。

耐力壁はアカデミーで作った巾はぎパネルのACパネルで確保。通気層を設けて、外壁は贅沢に30mmの杉板張り。

断熱は暑さ対策のために屋根のみにウッドファイバーを入れています。

木工専攻の学生と合同で製作した建具も丁寧に図面を描いています。

下図は、東側の外部収納建具です。
上部に吊りレールを仕込んでスムーズに動かします。
中央部は縦格子で内部を外から確認でき、上下はフラッシュ戸として製作を簡略化しています。

その時々に検討してきた情報が描き込まれ、91枚の図面で自力建設の設計図書一式になります。

この代の22期生は、春からそれぞれの進路に巣立っていきました。
自力建設をやり切った経験が自信になり、これからますます活躍していくことでしょう。

教授 辻充孝