課題研究 プロ集団の住宅医協会で報告
課題研究で「既存住宅の性能向上を伴う改修の普及に関する研究」に取り組んだ小島亜素佳さん。
2月21日には、研究成果を学内の課題研究公表会で発表し、最多投票を受けて最優秀発表賞を受賞しました。
この研究の背景には、入学当初の想いがありました。
もともと古民家や改修に興味があった中で、アカデミーの授業で既存住宅の性能の低さを学び、単なる改修では幸せにならない、なんとかならないかと。
そこで研究テーマを性能向上を伴った心地よい暮らしができる改修を広めることに。
そこで、ヒントとなったのが、森林文化アカデミー名誉客員教授の三澤文子氏が代表理事をつとめる住宅医協会の取り組みでした。
住宅医協会では、丁寧な既存住宅の調査結果から丁寧な設計を行い、性能を数値で見える化しています。
住宅医が手掛ける改修事例は「建物調査と改修の事例・報告」として毎月HPにアップされています。
このブログ執筆時点ですでに145件の事例が見れます。
それぞれの事例は非常に密度の濃い内容でこれをしっかり読み込めば、建築実務者、住まい手にとって非常に有益な情報発信になると考えました。
ですが、現在は検索機能が十分ではなく、非常にもったいないと。
そこで、事例データベースを整理することで、建築実務者の改修手法の引き出しを増やし、住まい手には改修でもここまでできるというイメージを共有することを目指しました。
同時に優良な改修事例を数多く分析することで、自身のスキルや改修手法の引き出しを増やすこともできます。
その完成したデータベースを住宅医協会の皆様に発表する機会を頂きました。
住宅医協会の三澤さんが主催するMs建築設計事務所をお借りしてのリアル会場と、ZOOMを使ったオンラインのハイブリッド開催です。
参加者は70名を超える住宅医のみなさんです。全国から参加されています。
プロの方、それも特に改修を得意とされている全国でもトップランナーの方に研究報告をするというのは非常に貴重な機会です。
研究をどう評価されるのか、プレッシャーとともに非常に緊張したことでしょう。
30分の発表の中に、背景からアンケート調査の分析、データベースの活用事例まで上手くまとめていました。
発表の後は、50分ほどのディスカッションです。この時間が貴重です。
建築実務者の方から率直な感想とコメント、質問が入ります。
全体的に非常に好意的で、
住宅医の改修事例はよく見ているが、昔の事例を見るのがなかな難しく、このデータベースを早く使えるようにしてほしいといった意見や、
コストは建築実務者、住まい手に取っても非常に関心が高く、コストに関する情報が検索できるようになると有益といった意見、
そのためには、住まい手にも了解を得ないといけないが、契約段階で書面で確認する方法をとっているといった具体的な意見など、
活発な意見交換ができました。
今後、このデータベースをもとに、公開できる情報と留意すべき情報を整理し、活用していただくということで、発表会が終了しました。
発表会後は、会場にいらした方々と、更なる意見交換をしました。
美味しい紅茶とお菓子で、和やかな雰囲気の中、来週から新天地で働く小島さんを激励しました。
これでアカデミーでの学びは一段落です。
これからは就職先で研究成果を活かし、性能向上を伴う心地よい改修を増やして下さいね。