日独連携視察レポート【獣害対策】②
トレーニング
ドイツには狩猟免許の種類は1種類(厳密には鷹猟との2種)なので、ほぼすべての猟師が銃を取り扱うことになります。そして、報告①にある様にカリキュラムには銃器の取り扱いについても非常に多い時間を割いて理解を深めるようになっています。
MSZU
資格を取得するための訓練だけでなく、猟を始めてからも定期的に訓練を行う必要がありますが、日本でもたまに目にするような人の目に入りにくいような施設ではなく、一見ホームセンターの様な施設でも射撃の訓練が出来る事に驚きました。
このMSZUは、銃の購入・修理・訓練が行える施設です。おそらくドイツでも一番大きな銃のトレーニング施設だろうとの事。
セキュリティを超えて施設の奥に入っていくと地下に複数のトレーニング場があります。我々は25mの射撃訓練施設に入りました。
驚いたのは映画館の様に実写の映像が流れている事と、実銃を使って映像に弾を撃つこと。訓練施設に入る前には誓約書を書かされました。壁・天井・床を傷つけると150€の罰金が・・・
このシステムでは100を超えるシュチエーションが選択でき、自分の猟場に近い映像で訓練を行う事が出来るようです。仕組みや詳細を聞くことはできませんでしたが、壁面に着弾すると、一瞬映像が止まり着弾ポイントが表示されることで狙い通りなのか判別することが出来ます。
施設利用料は30分で95€。安い金額ではありませんが、地下にあるこの施設は天候の影響を受けずに訓練を行う事が出来ます。
他にも映像ではなく標的を狙う一般的な訓練施設が他に25m・100m・300m、散弾銃の射撃施設が別棟にありました。日本では私は見たことが無い施設の充実ぶりでした。
KRÄGG
次に訪れたのは、普通の民家でした。
ハンティング用品(商品)の置かれた廊下を抜けると怪しげな暗い個室に通されます。部屋の広さは8畳ほどでしょうか。
ここでは銃のモックアップを使用してゲーム感覚で狩猟のシュミレーションを行う事が出来る体験をさせて頂きました。この施設、実はハンティング用品のショップであり、狩猟のトレーニングを支援する施設でもあるそうです。
獲物までの距離を設定出来たり、猟犬を使った猟の訓練も出来ます。狭い屋内で体験できることと、実銃を使用しない為エントリーユーザーに適した体験だと感じました。しかし、オプションパーツを取り付ける事で、自分の銃を使用して利用することが出来るそうです。モックアップでは重さやバランスが実際の銃にくらべて誤差がありますが、自分の銃に合わせた弾にオプションパーツを取り付ける事で、よりリアルな訓練が可能です。
ドイツでは銃によるアクシデントは非常に少ないそうです。資格取得に対して徹底した知識と実践の訓練を行うのと同時に、様々な形で訓練する環境が整っていることも要因かもしれません。
つづく・・・
報告:新津裕(YUTA)