壁-1GPへの道 その5
二日目の試合です。
昨日の試合の興奮そのままに、初戦を突破できたのでチーム全員リラックスムードです。
他チームの試合を見学しなら、壁談義をしていました。程なく、“貫3”の2試合目。
相手は、四国職業能力開発大学校でカベワンGPの常連校です。
金物を使用していて面材も入っていて強そうです。
カベワンGPのルールで、試合後に壁の補修などは出来ません。
昨日の激闘のダメージを負ったままの傾いた痛々しい姿の“貫3”が試合に挑みます。
頑張って初戦を勝ってくれた壁なので、あとは有志を見届けるつもりで試合を見ていました。
試合が始まると、またもや気持ち良くないきしみ音が。
しかし、傾いた状態で初期の遊びがなくなったせいか、相手チームの変位が大きくなっていきます。
貫構造らしい粘りを見せて、相手チームの壁が破壊。
2試合目も勝利して、この時点でトーナメントベスト4です!
カベワンGPでベスト4と言うことは、世界でベスト4の壁の誕生です!!
しかも、金物を使用していない壁は“貫3”だけでした。この時点でもう大満足です。
“貫3”の2戦目
次の試合は準決勝で、相手は法政大学のチームです。相手チームと健闘を誓います。
筋交いが多くあり、こちらも強そうです。
試合開始こそ“貫3”が有利に推移しましたが、徐々に変位を増していき、最後は柱脚部の破断で壊れて敗退しました。“貫3”の最期は見事でした!
試合後、破断箇所を見てみるとホゾ部の引張で壊れており、ひし形込栓の摩擦力が効果的に働いていたことが分かりました。
稲山先生からはホゾを太くするともう少し耐力が出せたと思いますとのアドバイスを頂きました。
敗北した試合後は解体です。
作製した壁を解体するのは寂しいですが、これも競技。解体時間も点数化されるため気を抜けません。
手順を確認してチームで解体を行いました。
すべての試合が終わり、トーナメント優勝は大会新記録の耐力をたたき出した稲山先生率いるチームでした。
最後に表彰式。
総合優勝も稲山先生のチームで、横綱相撲でした。
“貫3”の総合順位は6位でしたが、なんと審査員特別賞「意匠」を頂きました!!
貫を使用した縦横ラインだけの端正な佇まいとひし形込栓割りホゾの接合部が評価されました。
肝心の耐力は、耐力壁に一般的に使用される構造用合板と同等以上の強度があることが分かりました。
今後、大径材の一つの活用先となると嬉しいです。
出場を決めた時は、アカデミーの名を勝手に背負って初戦で敗退したらどうしようと不安でしたが、望外の健闘を見せて審査員特別賞も頂き、結果的にアカデミーの名を広めることが出来て良かったです。
御協力及び御助言を頂いた方々に深く感謝致します。
少し残念だったのは、準備期間が短すぎてアカデミー内で連携が取れなかったこと。
演習林から切り出した木で他専攻の学生も含めて参加できれば更に良かったです。
後輩に期待します!!
木造建築専攻2年 杉山達彦
決戦の様子はカベワンGP2023のYoutube動画で、ご覧いただけます。
第二回戦の様子は、4時間02分あたり、
第三回戦の様子は、4時間54分あたりです。