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2024年01月17日(水)

木製スキー「教員の道具箱」シリーズ

木造建築専攻教員の上田です。

授業にも趣味にも使える大事な道具・木製スキーをご紹介します。

 

元は5~60年前?の子供用スキーで、劣化もあり投げ売られていたのを救出しました。

 

 

一枚板で作られたいわゆる単板スキーで、塗装を剥がすときれいなカエデの材面が現れました(ちなみに、この「単板」は木材業界用語でいう「単板」とは少し違います)。

ビス跡や劣化部を埋め木で補修し、ニスを塗り、新しいバッケン(ビンディング)を着けて「歩くスキー」に現役復帰させました。

木製スキーの良さは、必要十分なしなやかさがあること、軽いため歩き疲れにくいこと、氷点下のなか素手で触っても指が貼り付かないことにあります。

(非常時に薪の足しになる点も利点でしょうが、そうならないよう大人しく楽しみましょう……)

現代のスキーと比べると滑走面の抵抗が大きいため、なめらかにターンを感じられることも面白さの一つです。

 

ただし、エッジがないため急制動できず、締まった圧雪バーンでは摩耗してしまうこともあり、スキー場での使用は憚られます(エッジのない滑走具を禁じるスキー場もあります)。

 

 

授業ではもう一台、別の木製スキーも活用しています。

左側は大正~昭和初期ごろの国産品とみられる単板スキーで、ヤチダモが使われています。

軽量で曲げにも強いですが、カエデ材と比べると木目で裂けやすく、スキーとして見れば面白い用材選択です。

海外では、近縁種のアッシュもスキー用材に広く用いられてきました。

戦前のスキー産業の試行錯誤が垣間見えるようです。

 

こちらのスキーは、学生時代にスキーの技術と面白さを教えてくれた師匠より譲り受けたものです。

樹種を調べて欲しい、と持ち込んでくれなかったら、私がスキーに興味を抱くこともなかったんだろうなあ……と、このスキーを初めて見せてもらったときの情景を思い出しています。

 

道具とのひょんな出会いから開けていく世界もあります。

次の「教員の道具箱」もお楽しみに!