活動報告
最近の活動
月別アーカイブ
2023年12月14日(木)

広葉樹の市場を視察「原木の利用と流通」

前回に引き続き、学生が現地視察の様子を報告してくれました。今回は各務原市にある木材団地で行われる【広葉樹の市(いち)】についてです。全国各地から広葉樹が集まり、隣接する小林三之助商店・平野木材で同時に市が開催されていました。木材市場の【入札】と【競(セ)り】が同時に見ることが出来る貴重な1日でした。

 

『林業専攻の栗林』です。

「株式会社小林三之助商店」さんの木材市場を見学させて頂いた様子をリポートいたします。

ここの市では広葉樹を中心にそろっていて、見学した当日は年末謝恩市でした。全国から集められた木材が並んでいました。中にはお客さんから注文された買い付けの商品も並んでいるとのことです。

こちらの市に買いに来るお客さんは静岡や三重など近隣の県の方のほか、個人の家具職人の方などもいるそう。また扱っている材は委託商品がほとんどですが、お客さんからの注文が来て買い付けしている商品も並んでいるとのこと。中には「オノオレカンバ」や「ニッキ」など普段目にすることのできない樹種も並んでいました。

入札会場の様子

今の市場としてはウィスキー人気もあり、樽に使うナラが人気とのこと。入札が始まる前にどんなナラが優良材なのか、並べられている材を比較してみました。担当者の三浦さんによると目のつまり具合や、コナラやミズナラなどの種類で価格が異なるとのことです。普段は材の繊維の様子をじっくり見ることがなかったので、とても興味深かったです。

市場では時代によってお客さんの希望する樹種も変わってくるそうです。今高値で売れているからといって、今後も同じ値段で取引されるとは限りません。今どんな需要があるかを考えるのも大事ですが、今後どんな需要が来ても対応できる山づくりも大切なんだろうなと実感しました。

 

ここからは『木造建築専攻の杉山』です。

各務原市の木材団地内にある平野木材(株)で行われた広葉樹の製材市場での競りを見学させて頂きました。会場には原木と同時に製材品がずらりと並べられていました。

競りに出る人は材を品定め中。買いたい人は全国から集って来ているようでした。

程なくベルの音とともに競りの開始。

まず競り人から開始価格が伝えられ、その価格を基準に上下していきます

一つの競りに掛かる時間は20〜30秒程度。価格の上下は魚の競りのように買いたい人との手の仕草でやり取りしていました。価格がどんどん上がったり、買い手がいなければ下がったり。同じような材でも高かったり安かったりして、目利きが重要だと感じました。材の売買価格にはその時の流行りも反映しており、昔は高かった物でも今は安かったりするそうです。

伐採費や製材費が確保されているのか心配になるほどに安く買われる材もあり、やるせない気持ちにもなりました。しかし、高い材は驚く程の価格がついていました。

黒柿の丸太が100万円以上。黒柿は価値があるとは聞いていましたが、これ程の価格で取引されているとは驚きました。また杢が綺麗な材も高く取引され、楽器などに使われるそうです。

高い材、安い材ともに、木としては周りの木との競争・共存しながらスクスクと育ってきただけなのに、見た目やその時の流行りで価値を決められてしまう。何か人間社会と似ていますね。

以上

入札やセリを終えてその金額を踏まえて材を見てみると・・・「なるほど!」というモノもあれば「なぜだ!?」という材も。材の見極めは奥深いですね。だからこそ面白い!

 

編集:新津裕(YUTA)